厚生労働省は1日、「第1回食品の営業規制に関する検討会」(座長:五十君靜信氏 東京農業大学応用生物科学部農芸化学科教授)を開催した。
検討会では6月13日に公布された改正食品衛生法に係わる、営業許可・届出制度に関する政省令等の素案を今年度中にとりまとめる。現在、営業許可を必要とする34業種を見直すほか、これまで各自治体の条例等で運用されてきた営業届出制度を創設することとなっており、実態に即した業種区分を新設・統合することとなる。
営業許可・届出制度の業者区分は公衆衛生への影響が高いか低いかが基本ベース。製造業、調理業、加工を伴う販売業などは要許可業種、温度管理等が必要な包装食品の販売業、保管業等を要届出業種とし、常温で保存可能な包装食品のみの販売等は届出の対象外とする。
現行制度では、許可分類が細分化されており、取り扱う食品の種類により、1施設で複数の営業許可申請が求められているのが現状。飲食店営業の許可で解釈上、大規模施設での食品製造が可能となることもあり、HACCPに沿った衛生管理制度も踏まえ、営業許可を要する業種ごとの施設基準など個別事項をどのように整理するかが課題となっていた。
こうした課題を踏まえ、業種の個別事項が共通する業種を統合し、現行の34業種をスリム化していく方針。ただし、要許可業種の範囲として業種ごとのリスクを考慮する(例:①食中毒等のリスクが高いもの②規格基準等の定められているもの③過去の食品事故や食中毒の発生状況等を踏まえて衛生上の配慮を特に必要とするもの)としており、これまで自治体等の届出等(東京都は許可)に委ねられていた健康食品製造業が厚労省の定める要許可業種として新設されるかが焦点となりそうだ。
なお、すべての食品等事業者を対象とした制度化(HACCPに沿った衛生管理、営業許可・届出、食品リコール情報の報告)に向け、食品衛生申請等に係わる管理システムを開発し、3年後をめどに運用に踏み切る方針。関連する様々な情報等を一元管理すべく、電子申請などの共通基盤のシステムを整備して、飲食に関する事故の発生を防止し、食品等事業者の行政手続きコスト等の軽減を図る、としている。