(一社)希少糖普及協会は、12月17日に都内で希少糖セミナー「希少糖研究の最新情報2018」を開催した。
最初に同協会代表理事の近藤浩二氏が挨拶。本セミナーでは希少糖に関する研究発表や話題の提供を考えている。今回は第1回であるが、今後は継続的に開催していきたいと語った。
京都府立大学大学院生命環境科学研究科 教授 岩﨑有作氏は、「D-アルロースのGLP-1分泌を介した過食・肥満・糖尿病改善作用」と題して希少糖研究の最新情報を講演。D-アルロース(D-プシコース)が腸ホルモンのGLP-1の分泌を促進させることで、満腹感を誘導し過食の防止が見込めることを解説。さらにGLP-1を介してインスリン分泌の促進と感受性亢進、肝臓の糖産生を抑制するという機序があることを突き止め、食後血糖値上昇抑制機能についても言及した。
香川大学副学長・国際希少糖研究教育機構 教授 徳田雅明氏が「ブルネイ、チェンマイ、フロリダ大学との共同研究の現状」と題して、海外での希少糖研究の状況を伝えた。香川大学での希少糖研究は約40年にもなり、肥満が問題となっている国との交流を行っている。今回は、D-アルロースを摂取した際の血糖値低下作用について、ブルネイ、タイ、フロリダで行ったヒト試験を通し、D-アルロースは人種を問わずに利用できることを、研究データを通じて紹介。米国ではIFT2018に出展し、D-アルロース(純品)のブランド「ASTRAEA(アストレア)」を展示し、大きな反響を得たという。
今後日本では、D-アルロース(D-プシコース)の純品ではトクホを、希少糖含有シロップでは機能性表示食品を目指したい意向も語られた。
松谷化学工業 研究員の山田貴子氏は、「低GI甘味料としての希少糖含有シロップ」というタイトルで、希少糖含有シロップ(RSS)を低GIという点から紹介。RSSのGI値は49であり、(55以下が低GIとされるため)低GI甘味料といえ、RSSと砂糖を併用することで砂糖のGI値を低減することを説明した。砂糖の5割をRSSに置き換えた際の血糖応答試験では、炭酸飲料、プリン、わらびもちの各食品でそれぞれ血糖値の上昇抑制作用を確認している。
またRSSは、砂糖よりも甘味の発現が早く後を引かないため、甘味のキレが良い、酸味との相性が良い、苦味が引き立つ、などの特性も紹介した。