アンリツインフィビスは1月30日、さいたま市大宮区の大宮ソニックシティに約40名の食品メーカー関係者を招き、プライベートセミナーを開催した。
講演は、①「IoTから広がる未来の生産工場」、②「計量制度改正の最新動向について」、③「保守・交換部品のサポート体制について」の3題。会場後方には同社が提案するIoTソリューションの中核となる総合品質管理・制御システム「QUICCA3」のデモ用にX線検査機を設置し、実際に講演①の中でQUICCA3を利用した場合のモニター画面や異物混入画像のほか、検査データを分析したグラフや表などを示してその利便性を訴求した。
講演①では、食品業界でも高度で複雑な品質管理への対応や、生産現場の人手不足を補う省人化、スキルフルな作業の簡略化といった課題の解決手段として、IoTに対する関心と期待が高まっていると指摘。莫大な導入コストや人材不足などの理由で現実的に食品工場での取組みは遅れているが、IoTの手始めはデータ収集とその「見える化」であるとし、その一歩目の役割を担うのがQUICCA3であると説明した。
QUICCA3はネットワークで接続された検査機の検査データや来歴などをリアルタイムで収集し、分析・活用することができる。生産性向上の面では、設備の稼働効率に関する指標の一つとして国際的に認知されているOEE(総合設備効率)が検査機データから算出できるため、OEEの要素である稼働率、性能、品質といった指標から生産性低下の要因を絞り込み、的確な改善が施せるという。品質向上面では、クレーム商品に対し、検査情報の追跡を迅速かつ正確に行えるトレーサビリティシステムが有効に機能する。HACCPの核となるCCPを継続的に監視・記録するCCP管理機能もHACCP制度化に伴い、さらに注目度が高まると見られる。
さらに今後は、QUICCAによって確認できた諸問題を、機器の前に行かなくても解決できるリモートメンテナンス機能を提供する予定。メンテナンスに伴うダウンタイムの短縮や、効率的で実効性のある操作アドバイス、機器の故障の未然防止などが実現できるとしている。
一方、講演②では、2017年中に公布・施行された計量制度に関する政省令の改正に伴い、自動はかりが特定計量器に追加され、検定の対象となった事情を踏まえ、その概要やスケジュール、同社の対応などを説明。参加者の食品メーカーに対しては、オートチェッカの検定が強制される2025年までの検定受験計画を早めに立て、検定依頼がたて込む可能性のある強制期限間際での検定受験を避けるほか、検定合格から次の検定までの期間(2年間)も適切な機器使用のため、日常点検運用を継続することなどを勧めた。
講演③では、顧客満足度90%以上の高い数値を実現する同社の保守サポート体制の現状を紹介。顧客情報共有を可能にしたCTI(コンピュータ・テレフォニ・インテグレーション)管理や24時間サポートなどの取組みなど、検査機販売後の対応の手厚さも同社の魅力であると話した。