24日(土)に開催される日本農芸化学会2019年度大会では、太陽化学が販売している水溶性食物繊維「サンファイバー®」を使った試験結果が発表される。
太陽化学、京都府立大学、滋賀医科大学、守山市民病院、栄養・病理学研究所、京都府立医科大学の共同研究で、自閉症スペクトラム障害(ASD)児童に対するグァーガム酵素分解物(商品名:サンファイバー®)の有効性についての発表となる。
これまでに、日本人のASD児でも腸内細菌叢の構成が定型発達児とは異なっていること、また、ASD児で定型発達児よりも有意に多いFaecalibacterium属及び、少ないBlautia属の占有率が白血球の炎症に関わる遺伝子群の発現量と強い相関を示すことを見出している。そこで、腸内環境を整える作用が知られているグァーガム酵素分解物がASD児の併存症状を緩和することができるかについて調べた。
13名の便秘症のASD児に、サンファイバー®を1日6g、2ヶ月以上継続して摂取してもらい、摂取前後で排便回数、異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)による併存症状の評価、及び採血、採便を行った。血液においては炎症性マーカー、糞便においては糞便細菌叢を解析した。
すると、サンファイバー®の摂取により、排便回数は有意に増加し、ABC-Jのうち興奮性サブスケールの値が有意に低下。血液中の炎症性マーカーにおいても抑制され、糞便細菌叢ではBlautia属の増加を含め、9菌属の占有率が有意に変化した。
以上から、サンファイバー®を摂取することで、便秘症のASD児の腸内環境を改善することができ、その結果全身性の炎症反応の抑制、興奮性サブスケールの低下、つまりASD併存症状も緩和できることが示唆された。
ASD児は偏食が多いが、サンファイバー® は飲食物に添加しても風味を変化させることがないため、食品に配合しやすい。それはASD児の保護者の生活の質の改善にも期待できる。また本研究は、サンファイバー®が腸内環境を整えると共に、メンタル的な自閉症の症状改善といった脳腸相関が期待できる結果となった。
なお、本件は優秀発表(ポスター)、トピックス演題にも選出されている。