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機能性食品開発のための知財戦略(16)
食品用途発明の最新報告〈2019年1月特許公報発行/公開分〉『腸内環境改善』に関する用途発明

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(16)
食品用途発明の最新報告〈2019年1月特許公報発行/公開分〉
今号注目の機能性 『腸内環境改善』に関する用途発明
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

2.今号注目の機能性
腸内環境改善に関する用途発明
2019年2月の執筆時において、機能性表示食品の届出数は、1800を超えている。「表示しようとする機能性」のカテゴリー分類において、「整腸」は約150であり、2番目に多いカテゴリーである。食品用途発明においても、整腸を含み「腸内環境改善」に関連する登録・公開案件が、本連載の特許データベースに多く収載されている。

以下、これまでの連載から、成立特許事例と出願公開事例とに分けて、紹介する。

特許第6396616号 株式会社ユーグレナ
【請求項1】ユーグレナを有効成分として含有し、腸内フローラにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ菌の占有率を増加させるために用いられることを特徴とするフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ菌賦活用食品組成物。

請求項1では、「ユーグレナ」による、「フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ菌賦活」用途が規定されている。

明細書では、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ菌は、酪酸を大量に産生する酪酸産生菌(善玉菌)の一種として知られ、抗アレルギーや抗炎症に働くことが説明されている。請求項1では、単に当該菌の賦活用途だけでなく、「腸内フローラにおけるフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ菌」の「占有率を増加させる」用途が具体的に規定されている点が興味深い。

実施例では、便秘気味の11名を含め、男性15名、女性13名の計28名(40 代〜60 代)の被験者にユーグレナ・グラシリス粉末を摂取させ、便における腸内細菌叢について、細菌叢に由来する16S rRNA部分の塩基配列の解析を行うことで、各腸内細菌の占有率を測定している。

明細書には、「40歳以上のヒトは、加齢等の要因により腸内フローラバランスが崩れる可能性が高くなっている」との記載もあり、実施例に即した、年齢による請求項限定のための仕込みもみられる。

機能性食品では、対象年齢層を記載して商品アピールを行う場合もあり、請求項の限定要素としては利用できる場合がある。

なお、本件特許は、早期審査を利用することにより、出願日から7ヶ月以内に登録に至っている。

腸内フローラ(細菌叢)の細菌種のバランスを具体的に請求項に規定する出願は、増加傾向にあるように感じられる。以下の公開案件では、請求項2、3において、具体的な細菌種バランスが規定されている。

特開2018-43966 サンスター株式会社
【請求項1】ラクトフェリンを含む、腸内フローラ細菌種バランス改善用経口組成物。
【請求項2】クロストリジウムサブクラスターXIVa増加用、及び/又は、クロストリジウムクラスターXI減少用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】クロストリジウムサブクラスターXIVa増加用、及び、クロストリジウムクラスターXI減少用である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】腸内フェノール産生抑制用である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。

―以下、続きは月刊『食品と開発』4月号にてご覧ください。
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