デュポンでは、植物性たん白素材のニーズが急拡大している市場を見据え、5月23日(木)に「高まるプロテイントレンドに対応する応用・栄養技術」セミナーを開催した。
スポーツ市場の拡大に伴うスポーツニュートリション需要の拡大、健康志向需要、高齢者の筋肉維持など、たん白素材が活躍する分野が拡大している。さらに、たん白素材についても従来の動物性たん白(ホエイ、カゼインなど)だけでなく、大豆やえんどうなどの植物性たん白への興味が高まってきている。同社ではこのような背景をもとに、製品開発に役立つ多角的な情報の提供を行った。
第1部
グローバルのプロテイントレンドについて
ミンテル シニアフードサイエンスニュートリションアナリスト ミシェル・テオドロ氏
海外で成長している高プロテイン製品の動向や、そのなかでも特に植物性たん白を使った製品が伸びていることを、実際のデータを見せながら紹介。植物性たん白は、環境配慮、動物福祉、人の健康などのメリットに繋がり、植物性たん白を取り入れている消費者が増えてきている。特に大豆やエンドウ、米たん白が注目されている。また、動物性たん白+植物性たん白、植物性たん白同士の組み合わせ、など組み合わせることで栄養バランスを考えることができる。さらにグローバル企業では植物性たん白+オーガニックという特長を訴求する。
第2部
研究結果からみるプロテイン素材の違いとアプリケーション事例
デュポン ニュートリション&バイオサイエンス グローバルストラテジックマーケティングリーダー ジーン・ヘギー氏
スポーツ分野でたん白素材が拡大している背景を解説。最初はボディビルダー向けの狭い市場であったが、それが一般に興味が広まったことで、筋肉だけでなく健康維持や体重管理向けにも広まってきた。今後伸び続けるためには、さらに新カテゴリーの創出が必要。
大豆たん白は植物たん白の中でも研究が進んでいる健康機能の高さが特徴。乳や卵白に引けを取らないアミノ酸スコアを持ち、動物性たん白と比べて環境への負荷も低い。また、大豆と乳たん白(ホエイ・カゼイン)をブレンドすることで、効率良く筋合成の促進などができる。それはデータで証明している。
スポーツニュートリションとして、プロテインパウダーやバー製品にも植物性たん白を応用する機会は拡大している。デュポンでは大豆だけでなく、エンドウやカロブ豆プロテインも揃えており、かつ、つかいやすい製品群(粉末、パフ、クリスプ、フレークなど)を揃えている。そのほか乳酸菌やCBDと組み合わせた提案もしている。
※ヘギー氏のレポート(和文)を、月刊『食品と開発』6月号(6月1日発行)に掲載予定です。
第3部
筋肉合成のしくみと必要な栄養素とは
ボディビルダー/トレーナー 山本義徳氏
たん白質の合成と分解について分かりやすく解説しながら、実際にプロテインを必要とするアスリートの現状を語った。山本氏が指導を担当する女性ラグビーチームの話では、プロテイン製品に一番大切なのは「味」だという。RTDはおいしくないと飲まない。極論では「味>品質」。値段はそれほど気にしていない。さらに大切なのが手軽さ。プロテインパウダーのシェーカーもめんどうと考えてしまうため、食事そのものにプロテインを付与したもの(パスタ、パン、ご飯など)、コンビニで買えるもの(RTD)が重宝される。これらがベースとなり、意識が高くなれば「品質」を気にかけるようになる。
第4部
デュポン ニュートリション&バイオサイエンス ジャパンストラテジックマーケティング 市川卓氏
日本市場でのデュポンの取組みなどを紹介。デュポンは川崎市にイノベーションセンターを持ち、開発サポートを行うことができる。コアユーザー向けの製品から、プロテインを配合した食品(パンケーキ、パスタ、RTDなど)の開発もサポートできることを紹介した。