AAKミヨシ油脂は6月27日に都内で「The Co-Development Day」(顧客との交流会・セミナー)を開催した。AAK社が毎年開催しているグローバルな恒例行事で、2016年に初回を開催し、今回が4回目となる。また今回はデンマーク大使館が初参加し、デンマークの習慣「ヒュッゲ」について紹介した。
■マイケル・スクライバー氏(AAKミヨシジャパン 代表取締役)
AAKの活動や取り巻く環境を説明。同社は、チョコレートは作っていないが、チョコレート用油脂のエキスパートでグローバルに展開していること。イノベーションセンターや物流データを揃え、顧客のニーズに応えられる体制を世界的に敷いていることなどを紹介。最近特にアジアや南米の成長が著しいという。
油脂のサスティナビリティについても言及。同社はRSPO認証パーム油の拡大をめざし、RSPOやトレーサビリティの現状を解説。世界のパーム生産量の12%を生産しているマレーシアのサバ州において、AAKはパーム油のサプライチェーンを作り、その地域の20の村とパートナーシップ作業を行っていることなどを紹介した。
■上山惟太氏(AAKミヨシジャパン カスタマーイノベーションマネージャー)
フィリングやスプレッドに適したチョコレート油脂製品を紹介。現在、スイートスプレッド市場は世界的に拡大が続いており、各国でチョコレートやナッツを応用したスプレッド製品が発売されている。スプレッドの利用も、パンに塗るだけでなく、サンドしたり、そのまま食べたり、デザートに応用したりと多岐にわたってきた。
同社では、スプレッドで問題となる点を解決できる製品を、いろいろ取り揃えている。データを交えながら、ナッツ含量の高いもの、ヘーゼルナッツ製品、新食感、新フレーバーなど、国内での新たなスプレッド製品の開発の助けとなるような油脂製品を紹介。また、フィリング用油脂においても、ホイップ性が良い製品、トランス酸フリー製品、爽やかで冷涼感の得られる製品、など、新たな製品の創出に役立つ油脂の提案を行った。
■マーク・ヴィッサー氏(AAK 脂質栄養部門新製品開発シニアマネージャー)
脂質栄養向け油脂として、卵黄リン脂質製品「ELIP」について解説。ELIPは、DHA、ARA(アラキドン酸)、コリンを含むリン脂質で、DHAがリン脂質結合型DHAであるため、一般のDHAよりも吸収性が良く、効率良く脳内に行き渡る。また、コリン供給源としての有用性をみた試験では、コリン塩と比べてELIPは4倍の吸収性を示した。ルテインも含まれていることから、これらの成分を1つの素材から摂ることができ、相乗効果も期待できる。脳機能改善向けはもちろん、アイケアや心臓の健康のためにも有用な素材であると言える。
なお同品は大豆レシチンと置き換えることができ、チョコレートバーなどに置き換えて使用することで、製品に健康効果を付与でき、付加価値製品として販売することもできる。
■レーネ・メルステッド・イェンセン氏(デンマーク大使館 食品・農業 公使参事官)
今回は、デンマーク大使館とのコラボレーションにより、北欧の食文化について紹介する時間が設けられた。デンマークでの食の安全、オーガニック事情、新北欧料理、HYGGE(ヒュッゲ)について語られた。
デンマークの経済は食生産と直結しており、人口の3倍の食生産量があるという。輸出も盛んで、日本にも豚肉や乳製品が輸入されている。
デンマークの人々はオーガニックへの関心が高く、過去30年でオーガニック市場が拡大し、市場には通常の製品とオーガニック製品が並ぶこととなっている。しかし両者間に価格差はないという(ただし鶏肉・牛肉は高い)。2017年には製品中の13%がオーガニック品で、国内需要はさらに高まっている。病院や保育園でも使われているという。
New Nordic Foods(新北欧料理)は、15年ほど前からトレンドとなっている。それまでデンマーク料理は有名ではなかったが、2010年、11年、14年と、レストラン賞を受賞したことがきっかけで広まってきた。新北欧料理には基準が設けられていて、自然・シンプル、季節感、その土地のもの、モダンアレンジ・ヘルシーなどが定められている。パスタやミートボールと対比する新しさと受け取られている。
なた、デンマークで特徴的な「ヒュッゲ」は、気心の知れた仲間や家族と楽しい時間を過ごすことで、デンマークでは日常生活に普通に取り入れられている。そのなかでもクリスマスやお誕生会、イースターホリデー、ミッドサマー(夏至)は特に重要とのこと。これらヒュッゲと「食」は切っても切れない関係にあるという。