築野⾷品⼯業は、こめ油業界初となる近⾚外分光法(NIR)によるこめ油の製造⼯程管理
を確⽴し、10⽉より本格的に運⽤を開始した。
油脂製造において、品質の良い製品を作るためには、原料や中間製品の分析による⼯程管理が⽋かせず、酸価、ヨウ素価、曇り点など多種多様な分析が用いられている。⼀般的に普及している化学分析の場合は、対象項目ごとに検体を用意し、それぞれの分析法により有機溶剤等を⽤いて分析する必要がある。
築野食品工業は、重要な管理点となる酸価やヨウ素価、曇り点のほかに、こめ油特有の成分であるγ-オリザノールやビタミンE群を高い精度で測定する近⾚外分光法(NIR)を2年以上の検証を重ねて開発。複数成分の同時分析を可能にし、分析作業を効率化した。また、この分析方法は、廃棄物を⼤幅に削減できるため、環境に配慮したこめ油の製造が可能となる。
今後も、さらなる測定項⽬の追加や使⽤⽤途の拡⼤を⽬指して、研究開発を進めていく。
◎近⾚外分光法(NIR)とは
⼀般的な化学分析とは異なり、有機溶剤等の試薬を使用せず、測定対象そのものに近⾚外光を照射し、光の吸収の度合いから成分を判別・定量する方法。非破壊検査のため、選果場などでの果実の糖度選別、乳製品の脂質等の測定、ビールのアルコール濃度の測定などに応用されている。
複数の分析を同時にかつリアルタイムで行うことが可能で、分析の迅速化と効率化につながる。また、分析の結果が分析者担当者の分析技術による影響を受けないため、結果が均⼀化され、さらなる品質管理体制の強化につながる。工程ロスや廃棄物の削減にも有効。年間で削減できる溶剤や試料のインパクトは、酸価測定に限っても溶剤457.5L、試料32.5kg。使用する溶剤や化学物質を削減し、環境へ配慮した製造工程管理を可能にする。