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プラズマローゲンの構造の違いによる神経細胞への影響を確認

鶏ムネ肉由来プラズマローゲン「Plasmax®(プラズマックス)」を製造(販売:IHM)している丸大食品と徳島大学との共同研究では、鶏由来プラズマローゲン独自の結合が脳の神経細胞を保護する可能性が示唆されたという。

プラズマローゲンは複合脂質(リン脂質)の一種で、グリセロール骨格の1位にビニルエーテル結合を含むグリセロリン脂質で、骨格の2位、3位に結合する物質が異なる様々な構造の分子種があり、由来原料によってその存在割合が異なる。鶏プラズマローゲンの2位骨格にはオレイン酸とアラキドン酸、3位骨格にはコリンとエタノールアミンが含まれる。

アラキドン酸は神経変性疾患の原因として挙げられるため、アラキドン酸により引き起こされる神経毒性に対してのプラズマローゲンの効果について解析した。

細胞にリン脂質を添加すると細胞膜に取り込まれる性質を利用して試料を準備。ヒト由来の脳神経細胞にリン脂質無処理区をコントロールとし、2位骨格がオレイン酸、アラキドン酸、DHA、それぞれの3位骨格がコリンとなる3種類のプラズマローゲンをそれぞれ添加して一定時間培養した。その後、さらにアラキドン酸を添加した後の細胞障害性の指標となるLDHの放出量と細胞内エネルギーを示すATP量を測定した。

無処理の細胞にアラキドン酸を添加すると細胞障害が起こるため、細胞外へのLDHの放出量が多く(細胞への障害が強く)なる。コントロールを1としたときの相対値により、2位骨格にオレイン酸が結合したプラズマローゲンはコントロールと比較し、細胞障害性を抑制した。

また、ATPは細胞への障害性が大きいほど細胞内での量が減少する。アラキドン酸を添加し6時間後のコントロール区割合を1としたときの相対値にて、2位骨格にオレイン酸が結合したプラズマローゲンは、コントロールと比較しエネルギー量が増加しており、ATP産生量の回復傾向がみられた。アラキドン酸結合型、DHA結合型については変化がみられなかった。

なお、2位骨格がオレイン酸、アラキドン酸、DHAで、それぞれの3位骨格がエタノールアミンという形の3種類のプラズマローゲンについても同様の評価を実施したが、LDH、ATPともに変化がみられなかった。

試験の結果では、2位骨格がオレイン酸、3位骨格がコリン結合のプラズマローゲンが、細胞障害性の指標であるLDHを低下させ、細胞障害後は細胞内エネルギーであるATPを回復させた。このことから、2位にオレイン酸、3位にコリン結合が多い鶏由来プラズマローゲンは、脳の神経細胞を保護する有効な素材であると考えられた。

本件は、日本薬学会第140年会(2020年3月)にて「アラキドン酸による神経毒性作用を緩和する有効な生理活性脂質としてのプラズマローゲン種の同定」という表題で発表された。

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