宮崎大学医学部・森下和広教授らの研究チームは、ブルーベリー茎葉抽出成分中の特定成分を豊富に含む粗精製分画に、新型コロナウイルスに対して強い抗ウイルス効果が認められたと発表した。これまで宮崎大学では、ブルーベリー茎・葉から抽出した成分に、成人T細胞白血病やC 型肝炎を引き起こすウイルスの増殖を抑制する作用があることを見出している。
実験には、ブルーベリー種(品種:くにさと35号)の茎・葉の熱水抽出物から得られた10種類の種類の抽出分画を使用した。くにさと35号は宮崎県と宮崎大学が共同開発した新品種のブルーベリー種で、茎・葉にはポリフェノール類を豊富に含む。アフリカミドリザル腎臓上皮由来の培養細胞(Vero 細胞)にサンプルを添加して5 時間後、新型コロナウイルス液(1x10⁴ PFU)を加えて2 時間静置してウイルスを細胞に感染させ、その後、ウイルスを含まない新しい培地(サンプルを含む)に代えて、3日間培養し、ウイルス感染価をプラークアッセイで算出した。
その結果、ブルーベリー茎・葉熱水抽出物の粗精製分画のうち7番目の分画(フラクション7)に、強い抗ウイルス活性が存在することが判明。フラクション7には、特定成分が最も多く含まれており、この成分が新型コロナウイルスへの効果の本体ではないかと考えられる、としている。なお、本成果は特許出願済みである。
今回の研究成果をもとに、抗ウイルス効果の強い分画から活性の本体となる物質を特定化するとともに、ブルーベリー茎・葉から抽出した天然物由来の成分を用いて、with/post コロナ社会に役立つ機能性素材として、早期に社会実装化を目指す考え。現在、くにさと35 号を配合したサプリメントやお茶を製造販売する企業と共同研究の協議を開始している。
【試験結果】