食品添加物を不安に思うきっかけが、「食品パッケージの『無添加』表示を見て」と回答した人が「不安である」と回答した人の1/4近くに上ることが、内閣府食品安全委員会が実施したリスクコミュニケーションに関する意識調査で分かった。
リスクコミュニケーションに関する意識調査は、約6000名を対象にインターネットアンケート形式で実施した大規模調査。ハザードごとのリスク認知状況について、不安に感じるもの(災害、感染症、食中毒、添加物、残留農薬、放射能等)を聞いたところ、食品添加物については、以前よりかなり減っていたものの、不安のきっかけ(複数回答可)として「食品パッケージの『無添加』表示を見て」と回答した人が24.3%と最も多い結果となった。このほかの回答では、「否定的・警鐘的な論調(新聞・雑誌・テレビなど)」は23.8%、「テレビ・インターネット上の動画などでの衝撃的な映像」21.9%、「事件・事故等のニュース・報道を見て」21.1%、「危険性・有害性を示すデータを見て」19.9%となっている。
また、食品添加物のイメージについては「人工的・人為的である」22.2%、「摂取するたびに人体に蓄積されている」18.8%、「安全性を判断する材料が不十分」12.1%など否定的な回答がある一方、「健康影響リスクをゼロにすることはできない」15.1%、「メリットもあるので、ある程度は受け入れることができる」が11.0%、「国で定めている基準値内であれば、摂ることができる」10.3%となっており、一定の理解を示す回答もあった。
今回の調査内容は、報告書として遅くとも年度内には公表される見通し。「無添加」表示が食品添加物の不安を却ってあおるといった実態が垣間見える結果となり、消費者が科学的に根拠のない情報に振り回される状況や、食品安全委員会において双方向の情報・意見交換を行いつつも一方通行の啓発では、リスクアナリシスの考え方が定着しないなど、改めてリスクコミュニケーションの難しさが浮き彫りとなった。