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甘草のグリチルリチン生成メカニズムを解明

大阪大学、理化学研究所らの研究グループは、常磐植物化学研究所などと共同で、生薬「甘草」の基原植物を含むマメ科カンゾウ属植物が作る有用成分グリチルリチンの生産性を左右する分子メカニズムの一端を解明することに成功した。グリチルリチンの生産性が異なるカンゾウ属植物を材料に、グリチルリチン生成に関わる酵素の働きを調べたところ、この酵素の働きのわずかな違いが、グリチルリチンの生産性を左右することが明らかになった、としている。

カンゾウ属には、甘味成分でもあるグリチルリチンを比較的多く蓄積しているG. uralensis(ウラルカンゾウ)、G. glabraG. inflata のほか、G. pallidiflora(イヌカンゾウ)などグリチルリチンの顕著な蓄積が見られない種も多く存在し、これまで、同じカンゾウ属でも種によってグリチルリチンの生産性が大きく異なる理由は未解明となっていた。

本研究グループは2008 年にグリチルリチンの生成にはウラルカンゾウが持つシトクロムP450(注1)の1 種、CYP88D6 がグリチルリチンの生成に必須な2 度の酸化反応を触媒することを報告。今回、グリチルリチンの顕著な蓄積がみられないイヌカンゾウが持つCYP88D6 に相当する酵素(CYP88D15)の働きを調べた結果、2度目の酸化反応を触媒する働きが弱く、グリチルリチン生成に不向きであることが判明し、カンゾウ属植物のCYP88D6、またはそれに相当する酵素のわずかな働きの強さの違いが、グリチルリチン生産性を左右する分子メカニズムの一端であることを解明できた、としている。

グリチルリチンの顕著な生産が見られないカンゾウ属植物由来の酵素の活性は生成機構が未解明なジエン構造を持つトリテルペノイドなど天然の有用物質生成に応用できる可能性があり、合成生物学による代替生産法の開発が期待できる、としている。

注1 シトクロムP450
ヘムを含むタンパク質の1 群。ヒトを含む動物から、植物、微生物に至るまで、幅広い生物が持つタンパク質群。ヘムに一酸化炭素が結合すると450 nm 付近に極大吸収を示すことにその名が由来する。主に酸素分子を用いたモノオキシゲナーゼとして機能することが知られている。

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