三菱ケミカルは、ショ糖脂肪酸エステル(ブランド名「リョートー™シュガーエステル」)の新たな生産拠点として福岡事業所(福岡県北九州市)内に製造工場を建設する。安定に推移する国内需要に加え、中国を中心とした海外需要が著しく伸張しており、増加する需要に対応するとともにサプライチェーンの強化を図るのが主目的。製造能力2000トン/年の工場を立ち上げ、23年夏の稼働を予定している。
シュガーエステルは、ショ糖と植物油脂由来の脂肪酸を主原料とした乳化剤で、水分と油分を均一に混合させる機能を有し、食品の加工や流通保管時の品質維持に役立つ。同社は、これまで三重事業所(三重県四日市市)において年産1万トン規模でシュガーエステル製品を製造しており、缶コーヒーなどの飲料や、ホイップクリームなどの乳製品、ケーキやチョコレートなどの菓子類といった加工食品をはじめとした幅広い分野に展開してきた。
近年は、伸長する中食・冷食市場をターゲットに、食品ロス削減の観点から、フライ製品など惣菜関連分野の賞味期限延長に取り組んでおり、自社の増粘剤や酸化防止剤、日持ち向上剤と合わせて、食感や味わい等に効果的なシュガーエステルとポリグリセリン脂肪酸エステルを紹介している。
一方、海外市場へは、低HLBタイプのシュガーエステルの取組みを強化しており、特に需要が旺盛なチョコレート分野を有望視している。これまで海外における関連法規や宗教規律への適合性の観点で、提案が限定される場面があったが、積極的に認可取得などの対応を行っており、シンガポールでの認可取得を皮切りに、ASEANのCODEX準拠国やインド等への積極的な展開を図る予定。
すでに、製品の一部ではHalal認証を取得しており、将来的にはKosherの取得も目指している。食品以外では環境に配慮したコーティング剤向けも視野に入れる。