オリザ油化では美容素材として拡販している「トマト種子エキス」について、アトピー性皮膚炎モデルマウスによる皮膚炎症改善作用についての試験が論文化され科学雑誌に掲載されたと発表した。さらに、臨床試験にて明らかになった肌弾力改善作用については、8月26日からの「日本食品科学工学会 第68回大会」での発表を予定している。
■アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚炎症状改善作用
アトピー性皮膚炎モデルマウス(IL33-transgenicマウス)を用いた試験で皮膚炎症状改善作用を明らかにし、著名な科学雑誌である「Journal of Food Biochemistry」から論文がリリースされた。
トマト種子エキスまたはエキスの主要成分であるリコペロサイドHを継続してモデルマウスに経口投与した結果、皮膚炎症状に起因する引っ掻き行動回数の減少、皮膚炎症状スコアの改善、経皮水分蒸散量(TEWL)の改善が認められ、これらの改善による活動期の行動量の増加を確認。さらに炎症に関するバイオマーカーを解析した結果、Th2/Th1サイトカインバランスの改善や血中IgE量の減少も確認された。
これらの結果より、トマト種子エキスおよびリコペロサイドHの継続的な経口摂取は、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎による皮膚バリア機能の低下や水分蒸散に対して有効であることが示された。これまで見出していた皮膚内部の真皮へ働きかける効果による肌の弾力ケア作用だけでなく、皮膚外側の表皮へ働きかける効果による皮膚炎症状(ドライスキンなど)改善効果の2つの側面を合わせ持つ新たなコンセプトの美容素材として差別化を図っていく。なお同社はこれらのデータの特許出願も終えている。
【発表論文】
Takeda S., Miyasaka K., Shimoda H. Lycoperoside H, a steroidal alkaloid saponin in tomato seeds, ameliorates atopic dermatitis-like symptoms in IL-33 transgenic mice. Journal of Food Biochemistry, 00, e13877 (2021).
■ヒト臨床試験で「糖化ストレス軽減による肌弾力改善作用」を確認、学会発表へ
【学会発表】
日本食品科学工学会 第68回大会(オンライン開催)
日時:8月26日(木)~28日(土)
演題:「サポニンを規格成分とするトマト種子エキス摂取による日本人女性の皮膚粘弾性に及ぼす作用」
外部CRO機関によるランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験として実施。
健常な成人女性44名を対象とし、トマト種子エキス-Pを200 mg/日・8週間継続摂取した際の肌弾力に及ぼす影響を評価した。
結果、国際的に広く認められた弾力パラメーターである総弾力性(R2)、正味の弾性(R5)および回復弾性(R7)において、トマト種子エキス摂取による有意な効果が確認された。
※R2、R5、R7は加齢に伴って値が減少し、健康な肌の弾力指標として用いられている。
さらに、糖化ストレスのバイオマーカーの1つである血中ペントシジン量において、トマト種子エキス摂取8週後で有意な減少が確認された。
※肌の糖化が進むと肌の老化現象が起こることが知られている。
これらのことから、トマト種子エキス-Pの継続摂取によって糖化ストレスの減少をメカニズムとして肌の弾力が維持されることが明らかになった。
同社では、本試験内容を基にした特許出願を終えており、今回の臨床試験結果は査読付き学術論文にもアクセプトされている(現在出版準備中)。この臨床試験結果を基に、今後期待される機能性表示食品としてのヘルスクレームの一例としては「本品にはリコペロサイドHが含まれます。リコペロサイドHには糖化ストレス軽減による肌の弾力を維持する機能があります」とする予定。