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ベニバナの赤色色素カルタミンの合成酵素を世界で初めて同定

東洋インキSCホールディングスとトーヨーケムは、東北大学大学院工学研究科バイオ工学専攻応用生命化学講座の研究グループ、東北大学東北メディカル・メガバンク機構との共同研究により、ベニバナの赤色色素成分であるカルタミンの生合成の最終段階を司る酵素(カルタミン合成酵素)の遺伝子を世界で初めて同定し、ベニバナの赤色化を司る酵素の実体を明らかにした。

カルタミンはフラボノイドの一種であり、他の植物には見られないカルコン誘導体「キノカルコン」からベニバナ特有の多数の修飾反応を受けることにより生成すると推定されている。1995-2000年頃にカルタミンの直接的な前駆体としてプレカルタミンが同定されたものの、カルコンから出発してどのような酵素がどのような順序でカルタミンの生合成に関わるのか、酵素遺伝子の同定も含めてこれまで明らかにされてこなかった。

今回、紅花の植物内部で色素が合成される代謝メカニズムを解明するため、遺伝子・タンパク質解析技術を応用した最新の解析手法を用いてカルタミンの生合成メカニズムの解析を実施。カルタミン生合成の最終段階の反応を司るカルタミン合成酵素は、植物に広く存在するペルオキシダーゼの仲間であることが判明した。ただし、カルタミン合成酵素反応では、他のペルオキシダーゼ反応とは異なり、電子受容体として過酸化水素ではなく酸素分子が利用される。

本研究グループは、明らかにされたカルタミン合成酵素の特性に基づいて、ベニバナの花弁の赤色化や伝統的な紅の製造のプロセスを合理的に説明できる、としており、より効率的に赤色色素を得る栽培方法の確立を進めるほか、現在解析を進めているすべての中間代謝物の生合成メカニズムの解明により、紅花生育環境を最適化し、さらなる効率的なベニバナ赤色色素の抽出技術に展開する、としている。

ベニバナ色素は、紅花を約90日間栽培し、花弁を手作業で摘み取り抽出された色素で、ベニバナ黄色素は酸性域の飲料やクチナシ青色素を配合した緑色着色料に使用されており、ベニバナ赤色色素は、いちごイメージの加工食品や口紅などに幅広く使用されている。トーヨーケムは、ベニバナ色素の国内トップメーカーとして、独自の抽出技術を用いて植物由来天然色素「リオフレッシュ®カラー」や可食性印刷インキなどの製造販売を行っている。

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