早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 市川なつみ氏、同学術院 教授の柴田重信氏、シンガポールの南洋理工大学准教授Ken Lee氏らの研究グループは、発酵させたおからは栄養プロファイルが改善されることを発見。さらに同品を使ったマウス試験では脂質代謝改善による抗肥満や脂質異常改善機能を示すことを明らかにした。
本研究グループは、麹菌のAspergillus oryzae(A. oryzae)とAspergillus sojae(A. sojae)を組み合わせ、固体発酵によっておからの成分が変化し、総フェノール量、タンパク質含有量、アミノ酸含有量といった栄養プロファイルが改善されることを発見した。さらにモデルマウスを使った試験で、発酵おからの投与により脂質代謝が改善し、抗肥満や脂質代謝異常の改善効果を示すことを見出した。
この研究成果は2月23日付けで『Metabolites』にオンライン掲載された。
タイトル:Solid-State Fermented Okara with Aspergillus spp. Improves Lipid Metabolism and High-Fat Diet Induced Obesity
大豆加工品の需要の増加もあり、産業廃棄物となるおからの利活用が課題とされている。今回開発された発酵おからは、産業廃棄物(未利用資源)の有効活用につながり、肥満や脂質代謝改善が可能な機能性素材としての利用も考えられ、SDGsへの貢献も期待できる。