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環境に優しい高吸水性ポリマーの開発に成功

他社の生分解性SAP(左)と開発品(右)の吸水性を比較した様子

長瀬産業はグループ傘下のナガセケムテックスと林原と共同で、バイオ由来原料の比率を70%以上に高めた、高バイオマス度の高吸水性ポリマー(SAP)の開発に成功した。林原の有する酵素技術と、ナガセケムテックスの樹脂製造技術を掛け合わせ、でん粉構造と架橋構造の最適化により実現したもので、ポリアクリル酸系の高吸水性ポリマーと同等以上の吸水性能(吸水量、吸収速度)を有し、吸水量は開発品 1g 当たり60倍に達する。生分解性にも優れており、バイオ由来・生分解性による環境負荷低減に貢献するSAPとして、環境対応製品の開発に注力する企業や自治体などに向けた販売を視野に入れ、2025年度以降の上市を目指す。

SAPは紙おむつを中心にナプキンなどの衛生用品や、農業、緑化分野や化粧品など幅広い分野で使用される高い吸水性能を有する高分子ポリマー。従来品はアクリル酸を主原料としたポリアクリル酸系のSAPが主流であり、石油由来かつ非生分解性であることから環境負荷が大きいという課題がある。これに対し、環境負荷の少ない天然由来かつ生分解性を有するSAPとして、天然高分子であるでん粉やセルロースなどの多糖類を主原料としたSAPの研究開発が行われているが、十分な吸水性能が得られず、最終製品としての活用は難しいとされていた。

そこでNAGASEグループは、でん粉構造を酵素変換することで吸水特性が大きく変化することに着目。分子間の相互作用を弱めてポリマーの網目構造が広がりやすくなる(吸水量が増加する)工夫と、吸水性を妨げない強度保持と吸水性を保持する、化学修飾と架橋方法を開発し、これらを最適化したSAPを実現した。溶解性やゲル化温度帯なども従来の高吸収性ポリマーと同等の性能をもつ。

今後は量産技術の確立と生産体制の構築を進めていく計画。ナガセケムテックス播磨事業所が製造を手がけ、長瀬産業が国内外に向けて販売する体制を整えていく。NAGASEグループは、バイオテックカンパニーとして、サステナブルな社会への貢献を通じて「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会の実現」を目指す。

NAGASEグループのSAP製造・販売体制(2025年度以降上市予定)

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