物産フードサイエンスが産学共同研究として国立病院機構福岡病院と進めていた「ケストースによる牛乳アレルギーへの効果」に関する研究成果が、このたび国際医学雑誌 『Pediatric Research』に掲載された。
近年の研究により、食物アレルギーに罹患した小児の糞便には酪酸産生菌が減少していることが明らかになっており、腸内細菌叢と食物アレルギーとの関係が注目されている。このたびは、酪酸産生菌を増やすことが報告されており乳幼児および小児のアトピー性皮膚炎を改善する作用を有する「ケストース」が牛乳アレルギーに与える影響について、並行群間比較試験にて検証した結果が報告された。
重度の牛乳アレルギーと診断され、負荷試験による安全な量の乳タンパク質を日常的に摂取するよう指導されているも増量が困難な30名の小児を、ケストース群 (23名) と無処置群(7名) に分け、ケストース群には6か月間ケストースを摂取させた。その結果、ケストース群では6か月後における摂取可能な乳タンパク質の量が試験開始時と比較して有意に増加し、血清中における乳およびカゼイン特異的IgEが有意に減少した。無処置群では変化は見られなかった。
また、ケストース群の糞便ではBifidobacterium属やFusicatenibacter属、Eubacterium属などの腸内細菌が有意に増加しており、特にFusicatenibacter属の変化は乳およびカゼイン特異的IgEの減少と有意な相関関係を示した。
これらの結果は、ケストースによる腸内細菌叢を介したアプローチが、牛乳アレルギーにおける耐性獲得の一助となる可能性を示唆していると考えられた。