DHA・EPA協議会は、5月24日に第26回通常総会および総会講演会を行った。
総会では、令和4年度まで10年にわたり会長を務めた昌子有氏の退任が報告され、新たな会長として鷹谷公博氏(マルハニチロ(株)執行役員 ファインケミカルユニット 副ユニット長)が選出された。副会長は2名、中楯雅生氏(タマ生科学(株)営業本部営業部 執行薬品 担当部長)、豆田祐二氏(日油(株)機能食品事業部 食品研究所 所長)が選出された。
また、総会後の講演会では、2名の講師による講演が行われた。(内容は編集部要約)
●不二製油グループ本社 PBF事業部門 副部門長 芦田茂氏
「サステナブルに貢献するPlant-Based Food~食の未来に向けて~」
世界人口の増加、気候変動、水不足(エネルギー不足)、食糧問題(プロテインクライシス)など、プラントベースフード(PBF)が必要な背景を挙げ、地球環境にも良く人のためにもなる食品としてPBFと、PBFの課題に言及した。
PBF製品を展開している不二製油では、動物肉に近い食感が求められている大豆ミートに対して、「プライムテクスチャー製法」による大豆ミートを開発。パサつきなどの問題を抱えていた大豆ミートを、肉のような噛み応えを有しつつくちどけやこなれを改善した。
大豆を豆乳クリームと低脂肪豆乳に分離する特許製法「USS (Ultra Soy Separation)技術」を応用した製品では、バター様の「ソイレブール」と「うに風ペースト」を紹介した。
PBFの課題として挙げられたのが「おいしさ」。同社で新たに開発された技術ブランド「MIRACORE®」は、動物性食品のような満足度を実現する新技術。植物性の油脂・たん白で開発した出汁(MIRA-Dashi)を利用することで、植物性のみでおいしさを実現した。
●NPO法人食の安全と安心を科学する会 理事長 山﨑毅氏
「機能性食品のリスクとベネフィットをどう考えるか」
「リスク」とは、現在ではなく将来どの程度危険なのかというものさしであり、食のリスクを理解することが大切であると語り、機能性表示食品の安全性について語った。
機能性表示食品の届出情報を検証する第三者機関「ASCON」がある。エビデンスの強さは消費者庁の機能性表示食品のホームページには出ていないこともあり、ASCONでは独自に、有用性についての科学的根拠などをもとに機能性表示食品の根拠に関する評価を「A・B・C・保留」で判定している(ホームページで公開)。
トクホも機能性表示食品も医薬品でないことを知っているべきで、例えば、生活習慣病に対するリスクを考えた場合、医薬品であればリスク低減効果は大きいが副作用リスクは「小~中」となる。しかし、機能性表示食品ではリスク低減効果は小さいため、副作用リスクは「極小」でなければ、摂取メリットがないと考えられる。
機能性表示食品を開発する場合は、リスク評価や安全性試験をしっかり行う必要がある。リスク評価や管理を行い、安全情報を出していくことが大切である。それが消費者の信頼に、さらに安心に繋がっていくと考えている。