セティの販売している乳酸菌「Limosilactobacillus fermentum ME-3」は、フランス・VF Bioscience社製のヒト由来の乳酸菌で、グルタチオン合成酵素を有し、体内でグルタチオンを産生・酸化還元することで抗酸化作用が期待できるという特徴を持つ。最新の研究で、ME-3による腸管バリア機能(腸管透過性)保護効果がin vitro試験により確認され、本試験結果が論文化された。
試験では、腸管上皮バリアモデル(Caco-2細胞培養系)および腸炎症モデル(Caco-2/U937共培養系)を用いて、化学療法(IRI(イリノテカン、抗悪性腫瘍薬の一種))による腸粘膜障害やLPS(リポ多糖)誘発性炎症による腸管上皮細胞のダメージ(腸管透過性増加)や炎症惹起に対するME-3の保護作用をみた。
◆腸管上皮バリアモデルによる試験
①コントロール
②ME-3 を24時間処理
③IRIを24時間処
④ME-3を24時間処理後にIRIを添加し24時間処理
上記4群に分け、Caco2単層膜を用いて細胞のバリア機能の指標となる経上皮電気抵抗(TEER)を見たところ、③では低下し、④ではIRIによる低下を抑制していた。腸管透過性(傍細胞経路透過性)は、③は2時間後より増加し24時間で有意な増加がみられたが、④はIRIによる増加を抑制していた。アドへリンジャンクション(接着結合)関連タンパクの発現をみたところ、③は発現の低下がみられたが、④はIRIによる発現低下を抑制していた。
これらのことから、ME-3は、IRI処理による膜透過性の増加から腸管バリア機能を保護することが示唆された。
◆腸炎症モデルによる試験
(Caco-2細胞(ヒト結腸癌由来細胞)/U937(ヒト組織球性リンパ腫細胞)共培養系)
①コントロール (LPS刺激なしU937細胞と共培養)
②LPS刺激したU937細胞と共培養
③ME-3を24時間処理後にLPS刺激したU937細胞と共培養
上記3群に分けて共培養開始24時間後に観察したところ、③はLPSにより引き起こされる傍細胞経路透過性の増加を抑制し、炎症誘発性サイトカインの放出を抑制したことが判明した。
これらの研究結果より、ME-3は腸管バリア機能保護作用を示し、リーキーガット症候群を予防するためのME-3の有効性が示唆されたと考えられた。
◆掲載論文 Int. J. Mol. Sci. 2023, 24(7), 6225
詳細は⇒ https://www.mdpi.com/1422-0067/24/7/6225
◆リーキーガット症候群とは:腸漏れともいわれ、腸の細胞粘膜に穴が開いて(細胞結合が緩む⇒腸のバリア機能の低下)、腸管内の細菌や有害物質、未消化成分などが腸管から漏れて体内に入り込みやすくなってしまう症状