太陽化学は6月28日(水)に「Well-beingをかなえる腸の科学と時間栄養」と題した健康フォーラムを東京国際フォーラムで開催した。主催:太陽化学、共催:セブン-イレブン・ジャパン、ドットミー
(以下の挨拶・講演内容は編集部による一部抜粋・要約です)
■開催挨拶
山崎長宏氏:太陽化学 代表取締役社長
生活習慣病の予防に食品のもつ機能が効果的であることが分かってきているが、どのように食べるか、という点はあまり気にされていない。コロナ禍でセルフケアへの関心が高まったものの、より効果的な食べ方を知らない人が多い。そこをわかりやすく提示することで新たな産業の創出につながる可能性がある。
■基調講演
流通が果たすWell-Beingへの役割
青山誠一氏:セブン-イレブン・ジャパン 取締役常務執行役員 商品戦略本部長 兼 商品本部長
・セブンの安全・安心への取り組み
弁当や惣菜を作る工場は、共通の原料、共通のレシピ、共通の設備で製造している。そうすることで衛生管理や品質管理の工場間の格差を是正し、レベルを高めることができる。安全・安心への取り組みは、商品の販売期間の延長に繋がり、食品ロス削減にも寄与する。
・Well-beingの取組み
流通がWell-beingに対して果たす役割は、健康を支える商品の品揃えや、健康を支える拠点になること、などと考えている。
今年最も力を入れたいのは「スムージー」。スムージーは健康(Well-being)と環境負荷低減の2つを両立できる製品。さらに、植物工場の野菜を積極的に利用していく方針で、工場栽培の野菜を使用したサラダを「みらいデリ」ブランドで展開する。併せて「みらいデリ」ではプラントベースプロテインを使ったツナマヨおにぎり、肉の一部をプラントベースに置き換えたナゲットなども揃える。
「Cycle.me(サイクルミー)」ブランドの積極展開。摂取する時間で選ぶという時間栄養学を応用した製品で、朝、午後、夜の各時間帯に摂取した方が良い素材を配合している。
※「Cycle.me(サイクルミー)」
Cycle.me(サイクルミー)は、ドットミーのD2Cブランドで、初の小売展開としてセブン-イレブンの一部店舗で販売を開始した製品。セブンではドライグロサリー分野での健康訴求を考え、時間栄養学の考えをもとに「無理なく続けやすい」をコンセプトに、ドリンクやゼリーなど12品を品揃えた。
■学術講演
健康とパフォーマンスの鍵はタイミングにあり:時間栄養学から学ぶ食事術
田原 優氏:広島大学大学院 医系科学研究科 公衆衛生学 准教授
日本時間栄養学会は今年で設立10周年となった。時間栄養学のベースとなるのが体内時計の研究で、ヒトでのエビデンスが徐々に蓄積してきた。より良いタイミングで栄養素を摂取することで体内時計の調節が可能となる。体内時計に影響する成分もわかってきており、例えばカフェインは、夕方に摂取することで体内時計が遅れるため、摂取時間に注意が必要となる。
食べるタイミングを整えることがWell-beingに繋がる可能性がある。例えば、血糖値は夕食後に上がりやすいが、間食を食べると抑えやすくなる(セカンドミール効果)。食物繊維は朝に摂取した方が効果的であり、カテキンや桑の葉エキスなどは夕食時の方が良い。「食のタイミングを考える時間栄養学」への取り組みが大切。
※第10回 日本時間栄養学会 学術大会が8月25日(金)・26日(土)に広島大学 霞キャンパス(およびZoomによるオンライン配信)で開催
■学術講演
健康の要 腸からはじまるWell-being
内藤裕二氏:京都府立医科大学 大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座 教授
日本人の平均寿命が延びたのは、栄養学を基本にした栄養・食生活改善の成果として手に入れたもの。京丹後で行っている長寿コホート研究では、フレイルと食物繊維摂取量には弱い負の相関があることが分かってきた。
「ガットフレイル」という新概念を提唱。胃腸の働きの虚弱化という意味で、6月2日に、一般社団法人日本ガットフレイル会議を設立した。
■主催講演
機能性素材の知見から健康生活の実現を目指して
佐藤則夫氏:太陽化学 取締役ニュートリション事業部長
太陽化学は1989年にグア豆由来の食物繊維を上市した。グア豆は雑豆の中でも食物繊維含量が高く、グア豆の食物繊維を酵素で低分子化し平均分子量を2万以下にした。
食物繊維は、水溶性・不溶性、低発酵から高発酵タイプまで様々にある。なかでも善玉菌が好むのがグア豆食物繊維のような水溶性で高発酵性の食物繊維。健康効果を発揮することから機能性表示食品としても受理されている。
腸能相関の研究も進めており、グア豆食物繊維のメンタルヘルスへの効果を調べたところ、目覚めのすっきり感、起床時の疲労回復感、仕事や勉強に対するやる気など、眠気・やる気改善作用が確認された。
■なお、本フォーラムについては、近日、アーカイブ配信を予定している。