DHA・EPA協議会は5月22日(水)に都内で第27回通常総会を開催した。令和5年度の事業報告と決算報告が行われ、続いて令和6年度の事業計画と収支予算について発表、承認された。
総会では、会長の鷹谷公博氏が欠席であったため、幹事長の今村英雄氏が会長の挨拶を代読。過去のDHAブームから30年が経過した現在、健康食品、育児粉乳、医薬品とDHA・EPAは幅広い分野に浸透している。水産資源の減少が危惧されている昨今だが、世界的にも水産資源が健康食として認識されてきている。DHA・EPAはマンネリ化により消え去る素材となってはならないと考えている、と決意が語られた。
令和5年度の事業報告では、開催した講演会(リアル開催・Zoom開催)について報告。さらに、長年にわたりDHA・EPAの栄養学的有用性の普及に努めたことや関連事業の発展に貢献した功績が評価され、日本脂質栄養学会より学会賞である「ランズ栄養功労賞」が授与されたことが発表された。
なお、令和6年度においても講演会を行っていくことと、DHA・EPAに関する国内外の情報、行政に関する情報を収集し、会員企業に提供していく方針であるとのこと。なお、会員企業も引き続き募集中。
続いて行われた講演会では、2題が発表された。
【講演1】冷凍解凍による魚油、脂質の状態変化
東京海洋大学 名誉教授/(一社)食品冷凍技術推進機構 代表理事 鈴木 徹 氏
ブリの切り身を液体窒素で凍結しそれを解凍した場合、-30℃で凍結したものを解凍した場合に比べて、ドリップ量(油)が大量に流出することに着目。マグロや牛肉でも同様に凍結脱油現象がみられた。これらは凍結の温度と脂肪の結晶化が関係すると考えられる、などの話題が語られた。
【講演2】近大マグロの歴史と現状および課題について
近畿大学水産研究所 所長 特任教授 升間主計 氏
近畿大学水産研究所が歩んできた近大マグロ研究の歴史を紹介。マグロの完全養殖までの道のりや今後の課題などが報告された。