~節電、暑さ対策で見直し需要高まる~
食品製造施設では、生産品目の増加等に伴う増築や改修により、清浄度区分が不明確になっていたり、作業動線が明確でなく交差汚染が起こっていることが、従来しばしばみられたようだ。ここ数年の衛生管理体制の見直しで、ゾーニングによる清浄度区分の構築も進み、交差汚染への対策もとられてきているが、清浄空間の維持には日常的な監視と改善が必要だ。
一方、食品工場の外に目を向ければ軽微なものから重篤な臭気にいたるまで発生源追及や行政窓口への苦情が後を絶たない。苦情の増加に伴い、食品工場や水産・畜産加工場、養豚・養鶏場などでは廃棄物や排水処理で臭い対策を図るところが増えてきた。本来は居住区から離れた場所に造られた食品工場などの近くに、家屋などが建てられ住居に接するようになり、臭気対策が必要となるケースもまま見られる。こうした中、臭いの発生原因や処理性能、コストに応じた様々な脱臭技術の開発が盛んになってきている。
また、いずれも福島第一原発事故をきっかけに、節電ならびに暑さを防ぐ遮熱対策などをキーワードにした設備や空調の見直しが加速度的に進み、産業全般に今後大きな設備投資が生まれるものと目されている。
本稿では、脱臭技術の現状と主な機器やシステムの特長、さらに清潔作業空間の構築に欠かせない注目の機器を紹介する。
■多様化する悪臭苦情と脱臭ニーズが高まる食品業界
環境省の平成21年度悪臭防止法施行状況調査(平成22年12月24日発表)によると、平成21年度末時点の悪臭苦情件数は15,937件で、6年連続で減少した。これは前年度と比較すると308件(1.9%)の減少となった。減少率こそ緩やかになったものの、引き続き企業や自治体における悪臭対策が奏功している結果といえよう。ただし上位5県は昨年同様・・・(続きは本誌をご覧ください)
■脱臭システムの開発動向
多くの悪臭発生源はその対策に苦慮し、安くて高効率の脱臭方法がないかを模索している。脱臭方法には多くの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあるためユーザー側としては、それらの点を十分に理解して選定することが大切である。(続きは本誌をご覧ください)
■食品業界で導入が進む注目の脱臭システム
○植物抽出消臭剤アプリケーション
・省スペース・安全性・消臭性能ともに高評価の排気消臭システム
○オゾン酸化法
・排気脱臭からミスト脱臭までオゾンによる脱臭ソリューション充実
○臭気判定のためのニオイモニタリング
・使いやすさの追求と小型化を両立
■食品工場における内部環境清浄化
食品分野では、工場におけるHACCP導入が進展する一方、安心・安全ニーズに対応する新設・改修が相次いでいる。特に工場や物流施設の内部環境清浄化は、多くの食品関連企業が力を入れているテーマだ。防虫・防塵をはじめ、除菌・防カビ、湿度コントロールなど、内部環境清浄化に関わる対策は多岐に渡る。取り扱う食品の内容にもよるが、クリーンルームを活用した無菌化包装食品もシェルフライフの延長や常温流通メリットなどの評価からここにきて市場拡大の様相を見せており、内部環境清浄化に貢献する技術・設備の開発も進んでいる。
○施設内清浄化のためのソリューション
・エアーカーテンなどへの組み込みが可能な新シートシャッター
・豊富なシャッターバリエーションを核に高効率な清浄化を実現
・食品施設の空調設備を塩害から保護する塗膜施工
・除湿しながら施設内の雰囲気を乾燥
○Pick Up
・ナノ密着技術を駆使したハサップガードシリーズで食品工場の環境改善に貢献