ここ数年の食品安全に関わる事故の増加と強化に対応して、安全性の検査項目は拡大の一途をたどっている。さらに昨年の原発事故を機に放射能検査が安全性対策に加わったうえ、4月からはより厳しい規制値への対応が必要となったことから、食品産業では再び放射能検査需要が高まっている。
行政のモニタリング検査強化や企業の自主検査によって食品の安全性を脅かす事故が未然に防がれたこともあり、事故件数それ自体は減少傾向にある。しかし、昨年は焼肉チェーン店での牛肉生食を原因とする腸管出血性大腸菌による死亡事故や、原発事故による放射能汚染の拡がりで、再び食品の安全性問題がクローズアップされる格好となった。特に放射能残留問題は、農産物や飲用水から、茶、水産物、乳、肉、米にまで拡大。昨年秋には明るみになった育児粉乳の残留放射能検出は、製品自主検査の必要を食品関係者に強く認識させた。4月から規制値がより厳しくなったことで、充実した設備とノウハウを持つ受託分析機関に検査をアウトソーシングする動きも拡がる見込みだ。