昨年の大震災以降、良質な水を多量に必要とする食品・飲料産業にとってどんな水を使うかは、今や原料の問題以上に重要な意味を持つと言われるようになっている。地下水利用が再び注目されるとともに目的に合わせて水をデザインする機能水の重要性は急速に高まっており、食品業界でも膜処理水の導入や除菌・洗浄機能を持つ水、微弱エネルギー処理をした水の利用が進んでいる。電解水は食品添加物として認可され、需要拡大が期待されている。
一方、食品産業における排水処理は、地球環境に対する世界的な意識の高まりを背景に規制は年々厳しさを増しており、いかに環境対策に取り組んでいるかが企業姿勢として改めて問われている。食品工場では資源の有効利用・生産性向上を目指し水のリサイクルなどに積極的に取り組んでいる。本稿では、食品産業における水処理技術の最新動向を、用水と排水(廃水)の両面から紹介し、併せて高精度化が進む各種水質測定技術の動向を探る。
【高まる高度処理ニーズと除菌洗浄で利用開発進む用水処理技術】
○水の機能性向上に欠かせない膜ろ過技術
○除菌・洗浄のための電解水
排水処理技術の現状と市場動向
○バイオリアクター応用システム
○嫌気性処理技術
○各種有用菌応用システム
○余剰汚泥減容システム
○膜・フィルタ利用排水処理
○脱水機
製造用水・排水の水質管理
○多機能水質検査装置