食品と開発9月号「海外開発トピックス」(海外雑誌の記事の和訳)記事紹介(Prepared Foods, January, 62(2017)より)
牛乳の効用 Working with Dairy
牛乳、ヨーグルト、クリーム及びチーズなど、乳製品の高い栄養価はよく知られており、それらの乳素材は大きな価値を持っている。乳製品の多様性は、栄養や味から機能性やテクスチャーに至るまで、消費者にとって他に類を見ないほどの魅力にあふれているが、更なる発見も続いている。
今日加工食品中に見られる乳及び乳フレーバー製品の最も重要で代表的なものは、多分チーズであろう。ミレニアル世代は、種類、大胆なフレーバー、間食や自然なものへの関心で、チーズ革新を進めることに貢献している。「各種企業は、ゴーダ入りのパルメザンとかパルメザンとロマノなど、各種のチーズを組み合わせることで新しい種類のチーズを作り出しつつある」と全国酪農協議会の製品研究上席副社長、ビル・グレイヴスは言っていた。「特定のチーズの製造方法と組み合わせた菌株技術を使って、例えば、ハイブリッドのゴーダ-パルメザンのチーズ中にカラメルとパイナップルの特徴を多く持たせることが可能である。即ち、特定のチーズでナッツや花の特徴を高めることが出来る」。
手作りチーズとその組み合わせは消費者の間で強い関心を持たれているが、最近のチーズにおける最も興味深いトレンドの一つは、インクルージョンやその他の素材でフレーバー付けしたホールチーズである。セージで風味をつけたダービーチーズやトリュフ入りのペコリーノチーズを考えれば、このコンセプトは全く新しいものというわけではない。
しかし、「乳製品に由来する素材を含む製品以外にも、セイボリーから甘味までの製品を創り出す素材として乳食品を扱っている市場には革新的なものが数多くある」とウィスコンシン乳製品研究センターで応用研究コーディネータかつ研究シェフのサラ・ミナシアンは言っていた。
例えばこの夏に、ミルク・トラック・チーズ社はチーズと肉を組み合わせたチャーキーという名の室温安定なスナックを発売した。熟成したウィスコンシン・チーズが主な素材であり、ヒッコリーで燻製したベーコンの欠片と小さなハラペーニョでフレーバーをつけたものである。これは1.5オンス(約43g)のスティックでタンパク質6gが得られる。
カッテージチーズ製品もある。スミスフーズ社のアルティザ・ブランドは、2種類のカッテージチーズ・スナックを発売した。「ブラックビーン・アンド・コーンサルサ」と「キューカンバー・アンド・クリーム」である。両者とも5.3オンス(150g)のサービング当たりタンパク質15gが得られる。アルティザは滑らかでクリーミーなテクスチャーを得るために同社の滑らかなカードのカッテージチーズをゆっくり加熱したものであり、ディップやトッピングとして使用に適したものにすると共に、セイボリースナックとしても販売できるようにしたものである。
ミナシアンが指摘したチーズ革新のもう一つの例は、ロティト・フーズ社のフォリオスと呼ばれる軽く焼いたチーズシートのシリーズである。オール天然のパートスキム・チェダー、パルメザンまたはヤールスバーグとして販売されており、12gチーズシートは、ラップ、ボウルまたはトッパーとして使用できる。例えば、レースのような外観を持ったものを二つ折りにしてフレンチオニオンスープのボウルの上に少し温めて掛ければ魅力的なものになる。
消費者は、自身の健康改善に以前より遥かに積極的であり、多くの人たちが発酵食品やプロバイオティック・サプリメントに効果があると考えている。ヨーグルトやケフィールなどの発酵乳はこの数年間で人気が上昇しているが、各種のソフトチーズ、発酵チーズ及び生乳チーズもまたプロバイオティック・バクテリアの良い原料である(アメリカでは、生乳チーズはそれが輸入されたものでも国産のものでも、最低60日間は熟成しなければならない)。
多くの消費者はまだそれらを組み合わせて考えていないが、経験豊かなマーケッターたちは特定の健康関連効果を販促に利用し始めている。「健康及びウエルネスの感覚に根差しているプロバイオティックのトレンドは、乳製品にとってのチャンスである。なぜなら、乳製品は培養されたり発酵したりした食品として長い間貴重な存在だったからである」とデアリ・マネジメント社の世界革新パートナーシップの乳化学者MSのブライアン・サンボールは言っていた。「乳製品の健康感覚、高いレベルの消費者受容性及びその菌株にとっての理想的な環境を与えられることで、プロバイオティックのメリットを各種の食事機会を通じて容易に取り込むことができる」。
乳製品には、牛乳、ヨーグルト、チーズ、冷凍食品、付加価値をつけた飲料及びカッテージチーズやバターなどを含め、拡大した各種の形状のものが加わってくる。科学による微生物叢の解明が進むと思われるので、このトレンドは長期にわたって強化されるであろうし、食事勧告はここのニーズに向けて調整されるであろうとサンボールは述べている。
(以下略: バターでより良く、タンパク質画分(ホエイ、カゼイン)、フレーバーとしての乳素材、などの内容が続きます)
9月号では、それ以外にも以下の内容を掲載しています。
●心臓の健康には食品が一番 Food First for Heart Health
/Prepared Foods, February, 42(2017)
●新製品は販売増加を促進する New Products Fuel Sales Growth
/Prepared Foods, February, 12(2017)