DHA・EPA協議会と(一財)日本水産油脂協会の主催による第19回公開講演会「栄養素としてのDHA・EPAの機能と分子構造からの考察」が、10月25日に都内で開催された。
高崎健康福祉大学 健康福祉学部 健康栄養学科の河原田律子氏は「糖尿病妊婦における妊娠中の食事の重要性―n-3系不飽和脂肪酸の役割―」について講演。胎児期の栄養状態がその後の人生における健康に影響すること、栄養的に貧しい環境にいる妊婦から生まれた後に豊かな栄養環境に置かれた場合、肥満や糖尿病、メタボリックシンドロームが起きやすいことなどを紹介。妊婦が高血糖だと胎児も高血糖状態に置かれ、胎児の心臓においてシグナル伝達系に障害が生じるが、魚油あるいはEPAの摂取により胎児心臓のシグナル異常を改善するということを、ラット試験におけるデータを交えながら解説した。
次に、富山大学名誉教授・富山城南温泉第二病院の浜崎智仁氏が、「医学論文の裏側」と題し講演。論文データの見方や判断ポイントなどを、動脈硬化学会のガイドラインなどを例題としながら詳しく解説した。
最後に、岐阜大学工学部名誉教授・岐阜大学フェローの吉田敏氏が「DHA(C22:6n-3)の構造的意味と役割」と題し、DHAの構造や体内での多彩な役割、酸化的代謝産物について講演。DHAの生体膜における意味として、従来の流動性仮説ではなく、生体膜の働きに柔軟性を付与するという「柔軟性仮説」について紹介した。
今回講演された3氏の執筆原稿を、月刊「食品と開発」の来年2月号に掲載予定。
DHA・EPA協議会のHPも参考にしてください。