医薬食品向けのビタミンB群相場が急騰している。これまで、中国の厳しい環境規制によるビタミンB群メーカー自身の稼働率低下がクローズアップされてきたが、原料として必要な工業薬品を生産するメーカーの供給問題が新たに浮上してきた。
ビタミンB1は基礎原料を製造するメーカーの操業停止のあおりを受け、中間体メーカーからの供給がストップし、一部メーカーではB1製造ができない状況。直近の国際相場は100ドル以上の取引となっている。B6相場も中国工場の排水トラブルなどを契機に、医薬食品向けの玉が出にくい状況に陥り、最高値を更新中。飼料用相場で過去最高値を記録したパントテン酸カルシウムは、一時のピークは越えたものの、依然として高値推移となっている。わが国の医薬食品向けに対応できるビタミンB群メーカーが少ないこともあり、玉の確保を急ぐサプライヤーサイドでは、国際相場に応じた大幅な値上げをせざるをえない情勢となっている。
水溶性ビタミンは、ビタミンCも含め中国が主導権を握る世界構図となっており、現地の環境規制による供給制限に関しても各国のサプライヤーは応じざるをえない状況。中国政府は2017年‐2018年秋冬季の大気汚染対策として、北京や天津の2都市に加え、26の州・地域を対象にした大気汚染総合管理検査プログラムを打ち出しており、各所で影響が出はじめている。監督機関の警告に応じない場合、厳しい罰則が設けられており、大気汚染の根源となる石炭をエネルギー源とする工場などは、基準値内に収めるために生産量をセーブせざるを得ない。関連するメーカーの余波はしばらく続くとみられ、医薬食品向け相場は予断を許さない状況である。
一方、ビタミンCも既存メーカーの環境対策(エネルギー変換、水、蒸気、工場移転)や、新興メーカーの供給体制(生産能力、品質、価格)がいずれも過渡期にあり、供給不安を解消するに至っていない。