扶桑化学工業は、4月1日出荷分より果実酸(有機酸)関連の全製品について価格改定を行う。運賃価格改定に伴う物流コストの上昇や中国産品の特恵関税率の見直しによる税率改定などが主な理由。2月からアナウンスを開始しており、各製品とも従来価格にこれらコスト上昇分を上乗せするかたちでユーザーと調整に入る。
対象となる製品は、クエン酸類、リンゴ酸誘導体、酒石酸類、エリソルビン酸類、乳酸類、その他有機酸類など全製品。運送業界では人手不足が深刻化し、労働力の確保や労働環境の改善に応じた運賃改定が進んでいる。また、特恵関税率についても経済成長著しい中国産品について4月1日から多くの製品で撤廃(卒業)される見通しとなっており、一般関税並みの税率が適用されることが焦点となっていた。中国産の有機酸類については、誘導体も含めこれまで無税であったものが4%前後(クエン酸は5.2%から6.5%に改定)の関税をかけられるケースが多い。
同社では具体的な上げ幅を明らかにしていないが、運賃コスト、新関税に応じた価格改定していくとみられる。同様の問題を抱える添加物サプライヤーも多いとみられ、今回の決断は波紋を広げることになりそうだ。また、米国子会社PMP社で製造するグルコン酸ナトリウム「ヘルシャスA」については、物流コストに加え、原料となる液糖価格の上昇、製造管理費の上昇に伴う値上げ(45円/kg)を4月1日より実施する予定となっている。