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【3月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(3)
食品用途発明の最新報告〈2017年11月登録/公開〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

食品用途発明の最新報告〈2017年12月登録/公開〉
  特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

はじめに
本連載では、毎月、①新たに登録される食品用途の成立特許と、②新たに公開される食品用途の公開公報(出願から1年6月で公開される)とを、著者が集計して報告を行う。また、汎用性が高く、参考となる請求項の記載形式、特許明細書の記載形式、権利化手法などがあれば、簡潔に紹介を行う。

1.調査の方法
特許庁データベースを用いて、特許請求の範囲に、「…のための食品…、…用食品組成物、…改善剤」などの食品用途発明で頻用されている文言を含み、人体に対する機能性に関する用途が規定された特許を抽出する。厳密には特定保健用食品、機能性表示食品にてヘルスクレームとすることができない機能性(用途)や、認可され得ない成分についても参考となる限り、除外せず掲載している。

原稿執筆時の関係上、本号では、2017年12月1日〜12月末日までに登録又は公開された特許案件についての紹介を行う。

2.新たな成立特許の紹介
特許第6261688号
大塚製薬株式会社
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター

請求項1では、乳酸菌の一種であるラクトバチルスONRICb0240による、「QOL(Quality of Life)改 善又は維持」用途が規定されている(表1(2)※誌面に掲載、この場では割愛)。従属請求項ではなく、請求項1において、QOLに関する用途を規定した成立特許は前例が少ないため、本号において紹介する。

<親出願との関係性>
本件特許は分割出願がなされた後に登録されたものであり、親出願と子出願の関係は以下のとおりである。親出願の出願当初の請求項1では、用途は、単に「QOL(Quality ofLife)改善又は維持」と広く規定されていたが、拒絶理由通知への対応過程において、「活力改善もしくは維持」、「疲労回復」、「疲労緩和」又は「抗疲労」との用途に限定されて登録された。

<特許第6261688号の審査概要>
子出願の特願2016-174646(以下、本願とも言う)では、親出願の登録後、請求項1において「QOL改善又は維持」の具体的内容が、「(a)全体健康感の改善もしくは維持、(b)日常役割機能(身体)の改善もしくは維持、又は(c)身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体健康感及び活力に基づく身体的健康度の改善又は維持である」点に限定された。

拒絶理由通知において、主引例には、同じ乳酸菌の菌種(ONRICb0240株)による、「粘膜免疫賦活作用」、「IgA産生促進作用」、及び「インフルエンザウイルス等の感染からの生体防御機構向上作用」が開示されており、これらから本願の用途も期待できるため、請求項1は新規性がないと判断された。

―以下、続きは月刊『食品と開発』1月号にてご覧ください。
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