オリヒロは、包装資材(フィルムやスパウト・口栓)と充填機内部の滅菌に過酸化水素水(液体)やスチームを使用する従来の湿式滅菌と異なり、過酸化水素ガス(気体)を使用するガス式無菌充填包装システム「Onpack Aseptic A2」の受注活動を加速する。軟包装パッケージによる無菌充填ニーズが近年急速に高まっているからで、生産性や安全面などでガス式の優位性が浸透してきたことを踏まえ、一挙に普及を進める構えだ。
Onpack Aseptic A2は、滅菌したフィルムを製袋したパウチ(滅菌済み口栓の溶着も可能)に滅菌済みの内容物を無菌雰囲気下で充填包装するもの。乳製品や豆乳などの高タンパク中性食品・飲料、食品原材料、調味料などの常温保存・流通・販売を実現する。素材本来の味や風味、栄養成分を保持した高品質化も可能。残留過酸化水素水を除去する乾燥工程も不要なため、生産準備時間も従来の1/2に短縮できる。過酸化水素水使用量も従来の1/2で済むため、ランニングコスト圧縮も可能だ。チャンバー内温度も従来の1/2と低いため、より薄肉で廉価なフィルムが使える。袋内に過酸化水素成分が残留するリスクもほとんどなく、安心感も高い。一時生産停止の際もフィルムのカールや伸び、べたつきなどの劣化が抑えられるため、フィルム歩留まりの改善も図れる。ドライ滅菌方式のため、装置内部への多数のセンサ搭載も可能。センサを通じた滅菌データの「見える化」に加え、リアルタイムでのトレーサビリティ管理も実現する。装置サイズのコンパクトも図られており、設置面積も1/2で済む。量産ニーズに対応する6連ヘッド搭載使用の高速システムの提供も可能だ。
なお、同社グループでは、群馬県高崎市内のスマートIC周辺工業団地内にゼリーやデザートなどの無菌軟包装製品の製造工場(第一期工事:オリヒロプランデュ)と、ガス式無菌充填包装システムの開発・生産工場(第二期工事:オリヒロ、オリヒロエンジニアリング)を建設することを明らかにした。すでに約2万坪の土地を取得済みで、第一期工事の投資予定額は70億円で、2018年6月に着工し、2019年6月に完成する予定。第二期工事の投資予定額は80億円で工期は未定だ。