オリザ油化ではツバメの巣エキスについて、タイトジャンクション形成促進作用を有する旨の特許を取得したことを発表した(特許番号6358692号)。
タイトジャンクション(TJ)とは、隣り合う細胞同士の隙間を接着させ、細胞と細胞の隙間を水やイオンが自由に行き来しないようにする役割を持つ構造のこと。
表皮TJ は体内の水分が過剰に漏れださないよう、また体外からの異物を入り込ませないようバリア機能を果たしている。TJ 構成タンパクであるクローディンやオクルディンは細胞膜上に存在し、隣り合う細胞と細胞の間をジッパーで閉じ合わせるように細胞間の隙間をシールしている。そのため、TJの形成を促進することにより、皮膚の弾力等の改善効果が期待できる。
同社では、ツバメの巣エキスを使ってタイトジャンクション形成促進作用を調べた。正常ケラチノサイトを培養し、TJ構成タンパクのなかでも特に皮膚バリア機能に関与すると考えられるクローディン1・クローディン4の遺伝子・タンパク発現を見たところ、ツバメの巣エキス0.1%以上の添加で各遺伝子・タンパクともに発現を増強させることを確認した。
また正常ケラチノサイトのクローディン4 タンパクを蛍光色素で染色し、ツバメの巣エキスによる影響を蛍光顕微鏡で観察した結果、無添加と比較して0.1%添加では細胞間をシールするようにクローディン4 の発現が確認された。
以上の結果により同社はツバメの巣エキスにおけるタイトジャンクション形成促進作用を有することを見出し、特許取得に至った。
ツバメの巣エキスは主として美肌向上素材として上市されたもの。広範な細胞の分化や増殖に影響を与える上皮細胞増殖因子(Epidermal Growth Factor;EGF)を含有し、美肌作りに欠かせない皮膚細胞(ケラチノサイト、線維芽細胞)の増殖効果を有し、創傷治癒効果を有することを自社データで見出している。これにより、日本のみならず世界で数々の採用実績を持っている。
今回のタイトジャンクション形成促進作用における特許の取得により、皮膚バリア機能を有する素材として期待することができ、国内外の更なるグローバルな拡販も期待されている。