ワインや飲料、ゼリーなどの酸味料として利用される酒石酸の価格が高騰している。
欧州各地の天候不順により、昨年はワインブドウの収穫量が過去最低になるなど玉繰りが急速に悪化し、現地の原料アゴール(生酒石)や酒石酸価格が急騰。南米など南半球の供給にも影響し、アゴール由来の酒石酸の世界需給がタイトに推移している。
一方、中国で生産する合成タイプも、相場は天然由来品をやや下回るものの、価格が上昇している。
今年の秋に収穫期を迎える欧州産の原料ブドウは、これまで比較的順調にきていたが、ここにきて熱波や日照りによる2年連続の不作が取りざたされてされており、酒石酸相場はさらに上昇する見込み。ワインや膨張剤などに利用される酒石酸水素カリウム(ケレモル)も含め、新規ユーザーへ対応ができないところもあり、玉繰りによっては、中国の合成タイプの存在感が強まるとみられ、国内市場でも食品向けでの評価も高まってきている。