薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会は2日、食品充填用のアルゴンガスと香料物質7品(イソブチルアミン、イソプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2-メチルブチルアミン)の新規指定について審議を行い、それぞれ了承した。今後、分科会での審議およびWTO通報、パブリックコメント等を経て、指定添加物として官報告示される流れとなる。
今回審議されたアルゴン(別名:アルゴンガス)は、きわめて安定した元素で、他の元素と化合物を作りにくい希ガスのひとつ。米国では一般に安全とみなされるGRAS物質で果実・野菜ジュースおよびワインへの使用が認められており、EUでは食品用の包装用ガスや噴霧ガスなどに利用されている。食品安全委員会の食品健康影響評価結果(人の健康を損なう恐れがない)を受け、使用基準を設定せず、成分規格をアルゴン含量99.0vol%以上とする規格基準案を了承した。
アルゴンは食品が酸素と接触することを防ぐ手段として利用される、不活性ガスを充填するMA(Modified Atmosphere)包装向けが有望視されており、その密度の高さから効率よく置換することができる。また、オキシダーゼのような酵素による酸化を防ぐ作用があり、作物の収穫後の呼吸作用を防ぎ、酵母やカビへの抑止効果がある、とされる。アルゴン包装による加工食品(カルボナーラ、野菜パスタ、野菜カレーライス)の耐熱性菌に対する効果(増殖度)などから商品寿命を延ばすことも期待されている。
一方、香料物質7品も食安委での評価結果(食品の着香目的で使用する場合、安全性に懸念がない)を受け、着香目的での使用に関する新規指定および規格基準案を了承した。香料物質7品は、いずれも一般的な食品にも含まれている成分で、欧州、米国において香料として使用が認められており、焼き菓子、アイシング、スナック菓子、チーズ、乳製品、果実加工品等に使用されている。