前立腺など排尿機能改善で知られるノコギリヤシエキスは、世界市場で需要が伸びていることに加え、産地フロリダで近年ハリケーンの影響で収穫量が減少しており、原料価格が高騰する中で、それを模倣した脂肪酸のブレンド品の流通が懸念されていた。
実際、流通するノコギリヤシエキスの中に、キャノーラやココナッツ、オリーブなどの植物オイルが混じっているものもあり、ブレンド技術が巧みになっているため、日本でノコギリヤシエキスの規格となっている総脂肪酸量とβ-シトステロールだけでは判別はつかず、主な脂肪酸組成分析でも判別が難しくなっていた。
ノコギリヤシエキスの規格は、EP(欧州薬局方)やUSP(米国薬局方)にも収載されており、成分や性状、分析法の細かな規格が定められているが、健康食品ではこれまでEPやUSPにあるような規格は要求されてこなかったため、原料高騰の中、他オイルの混合品が出回ったと思われる。
イタリア・ミラノに本社を置くインデナ社では、このほど「ノコギリヤシを装うブレンドオイルの検証について」という論文を「Fitoterapia127」(2018)15-19に発表。
論文発表された検証法は、脂肪酸、微量成分を含めた多成分の組成を、NMRを用いた主成分分析(PCA)によって比較するもの。また、安定同位体比を用いて、炭素、酸素、水素の同位体組成を検証することで、その植物の生息地域、植物種、動物種を区別することができるという。GCやLCを組み合わせて微量成分(トリグリセリドや中性脂肪)を分析することによっても、他のオイルのブレンドを見分けることはできるが、主成分分析によりその組成の違いが明白になるとしている。