デュポンニュートリション&ヘルス(以下デュポンN&H)では、8月27日に、かながわサイエンスパーク(川崎市)において、「イノベーション&アプリケーションセンター」の竣工式を行った。
最初にデュポンN&H セールス&アプリケーション リーダーであるKobus De Klerk(コーバス・デ・クラーク)氏が挨拶。デュポンN&Hの概要を紹介し、顧客に向き合いながら技術革新を力強く進めていきたいと抱負を語った。日本は重要な市場であると捉えており、特に高齢化が進む中で、シニアフード市場の成長には期待している。日本に適したソリューションを探りながら、本イノベーション&アプリケーションセンターを活用してイノベーションを進めていくという。
次に、デュポン・スペシャルティ・プロダクツ代表取締役社長である田中能之氏が登壇。デュポンN&Hが今後日本市場にさらに深く切り込んでいくためには、イノベーション&アプリケーションセンターが大いに役立つだろう。顧客と一緒に市場を広げていくための用途開発を進めていきたい、と語った。
また、川崎市副市長の加藤順一氏からは、川崎市の紹介と、川崎市には研究開発機関が多く、イノベーション&アプリケーションセンターに対する歓迎の意が伝えられた。
その後、テープカットが行われた。竣工式会場には、デュポンN&Hが「スマート・エージング」というテーマで挑む高齢者向け食品への提案がパネル展示され、試食が行われた。
■イノベーション&アプリケーションセンター
広さは約700平方メートル。主に3部屋に分かれており、ベーカリー関連(パン、焼き菓子、ドーナツ、蒸し物など)、粉末製品、飲料と乳製品に対応した試作ができる。分析室には、粒度分布計やレオメーター、テクスチャーアナライザーなどを備え、試作品を分析しながら顧客の求める製品に近づけていくことができる。
■高齢者の問題解決に役立つ素材と製品提案
同社は特に老化に対する切り口として、①身体的側面、②精神・心理的側面、③社会・環境的側面という3方向を設定。それぞれに役立つ同社の素材と応用製品提案を行った。以下はその一例。
①身体的側面
カゼイン、ホエイ、大豆の各たん白を“ゴールデンブレンド”と呼ぶ独自の割合で配合し、夜間の血中アミノ酸量を保つことで筋肉分解を抑制することを考えた「夜のヨーグルト」
②精神・心理的側面
間食における罪悪感を払しょくし、食欲を喚起させる食品(ノンフライ、低カロリー、減塩、免疫調整など)疲労回復をサポートして外出意欲を喚起させるものなど。会場では免疫調整ハイカカオチョコの試食展示。同社のもつ乳酸菌と水溶性食物繊維であるポリデキストロースを使った製品
③社会・環境的側面
最近は、買い物難民が社会問題とされる中、生活の質の担保を考え、冷凍しても長期保存しても鮮度を保てる「食パン」。同社のG4アミラーゼ配合の酵素製剤を使うことで、やわらかさやしっとり感を今まで以上に長時間保てる製品が可能となった