――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。
機能性食品開発のための知財戦略(9)
食品用途発明の最新報告 〈2018年6月登録/公開〉
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名真徳
2.乳酸菌関連用途発明の深掘り調査
8月号では、乳酸菌関連の用途発明について、2018年5月の新たな特許、公開公報を中心に分析し、参考となる案件、権利化方針等を概説した。
今号では、更に調査期間を拡げて、乳酸菌関連の用途発明を深掘りすることを試みた。食品用途発明が認められるようになった2016 年4月以降に登録された特許であって、種々の乳酸菌と、人体に対する機能性に関する用途とが請求項に規定された案件を抽出し、参考となる85件を選別した。誌面の関係上、全案件のリストは掲載できないため、ご入り用の方は、個別にご連絡いただきたい。
上記85 件について、用途別に分類すると、図1(ここでは割愛、雑誌には掲載)の通りである。
用途の種類では、免疫サポートや、腸内フローラを含めた腸の健康が多数を占める予測であったが、肌や皮膚に対する効果を用途として規定した特許案件が最も多い結果となった。
その他、上位を占めた用途としては、感染対策等の抗細菌、抗ストレス、抗アレルギー、歯の健康、睡眠サポート、抗不安、抗肥満、抗がん、抗ウイルス、IFN産生誘導等があった。
8月号で紹介した用途特許案件では、請求項1において、乳酸菌の株名が規定されたものが多くを占め、属名や種名の分類階級では権利化が難しい状況が窺えた。
今号の調査における85件では、請求項1における乳酸菌の分類階級を纏めると、図2(同割愛)の通りである。
図2によると、乳酸菌の株名や受託番号による限定をせずとも権利化に至っている案件が3分の1を占めることが分かる。乳酸菌自体と、特定の用途との掛け合わせのみが発明のポイントとなる特許では、乳酸菌の株名や受託番号による限定がなされて権利化されている案件がほとんどである。この点は、8月号で紹介した用途特許案件と同傾向である。
乳酸菌の分類階級が種名レベルやそれ以上の広い規定で権利化がなされている案件として、(1)有効成分が、乳酸菌自体ではなく、その培養物や発酵物、培養上清、分泌物により規定された案件、(2)乳酸菌と他の成分(要素)との組合せにより規定された案件、(3)用途がユニークである案件が見られた。
――以下、続きは月刊『食品と開発』9月号にてご覧ください。
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