東洋新薬は、九州大学大学院農学研究院 片倉喜範准教授と共同で『フラバンジェノール』のテロメラーゼ活性化による育毛作用の可能性を確認し、本年8月に開催された日本食品科学工学会第65回大会において発表した。
テロメラーゼは細胞の分裂寿命を司るテロメアを伸長する酵素。テロメアは染色体の両端に存在し、細胞分裂と共に短縮、テロメアが短くなると細胞が分裂しなくなる(細胞の老化)。加齢やストレスによってもテロメアは短くなる。しかしテロメラーゼは、細胞分裂によって短縮したテロメアを伸長させ、細胞老化を抑制することが分かっている。
また、マウスを用いた研究で、表皮のテロメラーゼを活性化することで毛髪が成長することが知られている。
今回の試験では、ヒト表皮角化細胞にフラバンジェノールを添加することで、テロメラーゼの遺伝子発現量が増加し、毛髪の成長期から退行期への移行を促進するTGFβ1の遺伝子発現量が減少することが確認された。
これまでフラバンジェノールの育毛作用は、血流改善や抗酸化作用が考えられていたが、今回の共同研究の結果から、フラバンジェノールがヒト表皮細胞において毛のもととなる細胞を増加させることで毛髪の成長を促進し、毛髪の成長期から退行期への移行を抑制するというメカニズムを有することも示唆された。