――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。
産学官連携による地域農・畜・水産物活用のための機能性食品開発研究を追う
シリーズ62
世界最先端のメタボローム解析技術を活用した山形県バイオクラスター形成促進事業について
(公財)庄内地域産業振興センター 事務局長 小林時男
はじめに
公益財団法人庄内地域産業振興センターでは、“食を起点とした地域産業の活性化”を促進するため、文部科学省「地域イノベーション戦略支援プログラム」の採択をうけ、平成21年度から平成23年度までの3年間、大学、公設試験研究機関や地域企業等の産学官連携によるバイオ研究基盤の構築を図りながら、機能評価システムの構築と地域農産物を活用した高機能食産業クラスターの形成に取り組んだ。
この事業は、慶應義塾大学先端生命科学研究所(以下「慶應先端研」)のメタボローム解析技術を、地域農産物のもつ機能性の探索に活用し、高付加価値の食品開発に繋げるもので、機能性成分を探索・検証する「機能評価システム」を確立し、産学官の連携により高機能農産物の生産技術と機能性を最大限活かした商品開発が連続的に行うことができる産業エリアの形成を目指したものである。
生体内の代謝物質を網羅的に解析するメタボローム解析技術とバイオ関連の研究開発機関が連携して地域農産物に含まれる機能性成分を探索し、その機能性を評価する機能評価システムの構築に取り組んだ事例は他になく、同システムの運用により新たな機能性食品の開発に繋がったものである。
平成24年度からは、これら産学官連携による研究基盤を活用した県内企業の事業化を加速するため、「バイオクラスター形成促進事業」の事業管理機関として先導的なバイオ技術を核とした新たな産業づくりに向けて活動している。以下、山形県のバイオクラスター形成の取り組みとその成果並びに今後の事業展開について述べることとする。
1.山形県におけるバイオクラスター形成に向けた取組
山形県では、慶應先端研をはじめとしたバイオ研究分野の研究機関、企業、金融機関等が連携を深め、共同で「先導的なバイオ技術を核とした知的・産業クラスター」の形成を推進するため、「山形県バイオクラスター形成推進会議」を設置し、将来の成長が期待される優れたバイオ研究成果を地域内で活用し、県内産業の振興を図ることにより、地域の活性化に結び付けていくための取組を行っている。
同会議では、山形県知事を会長に、関係機関の連携促進や全県的な取組の推進母体としてバイオクラスター形成に関し共通で取り組むべき事項や重要事項の合意形成を行い、具体的な施策として(公財)庄内地域産業振興センター及び(公財)山形県産業技術振興機構にコーデイネーターを配置し、慶應先端研等のバイオ研究成果を活用した県内企業の研究開発から事業化までを切れ目なくワンストップで支援を行っている。
――以下、続きは月刊『食品と開発』8月号にてご覧ください。
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