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【1月号連載】機能性食品開発のための知財戦略(13)
食品用途発明の最新報告〈2018年10月特許公報発行/公開分〉

――ここでは雑誌に掲載した内容の一部を紹介いたします。

機能性食品開発のための知財戦略(13)
食品用途発明の最新報告〈2018年10月特許公報発行/公開分〉
今号注目の機能性─オーラルケアに関する用途発明
特許業務法人ユニアス国際特許事務所 パートナー弁理士 春名 真徳

2.今号注目の機能性
オーラルケアに関する用途発明
本誌2018 年3月号の特集では、「口腔ケア食品開発の新規アプローチ」と題して、最新の開発動向について報告されている。
食品用途発明の登録・公開情報から見ると、用途の捉え方のアプローチが異なり、商品開発に沿うものと考えられる事例が多い。今号では、これまでの連載の報告例から、成立特許事例と出願公開事例とに分けて、紹介する。

成立特許事例
特許第6412045号 ライオン株式会社
【請求項1】アスコルビン酸-2-グルコシドを0.00001〜35 質量%有効成分として含み、ビタミンEを含まない、糖尿病に起因する歯周ポケット形成抑制用食品用組成物(但しチューインガムを除く)。

請求項1では、「アスコルビン酸-2-グルコシド」による「糖尿病に起因する歯周ポケット形成抑制」用途が規定されている。

本件特許は、分割出願による登録であり、原出願(親出願)の当初の請求項1では「アスコルビン酸誘導体を有効成分として含む歯周病予防および/または改善剤。」が規定されていた。分割出願の後、拒絶査定不服審判を経て、有効成分、その含有量、用途が具体的に限定されている。引用文献との差別化のため、「ビタミンEを含まない」との除外成分の限定や、「但しチューインガムを除く」との実施形態の除外を行っている点も権利化手法として興味深い。

単に「歯周病治療・予防」用途では、権利化が難しい場合であっても、より細分化された具体的な用途等への限定により登録に至っている。

実施例においては、2型糖尿病モデルマウスにアスコルビン酸-2-O-α-グルコシド(A2G)等を2 週間、飲み水として自由摂取させ、歯槽骨吸収抑制効果と、歯周ポケット形成抑制効果を評価している。いずれの評価系も歯周病予防に関連するが、後者の評価データを明細書に示していたことで、「糖尿病に起因する歯周ポケット形成抑制」用途を権利化することができたものと考えられる。

このように、出願当初の請求項では、広く用途を規定することが通常であるが、先行文献との関係上権利化が難しい場合もある。最低限権利化したい用途表現は、出願前に検討しておき、そのような用途に即した効果確認試験を行っておくことが重要である。

特許第6389212号 株式会社ロッテ
【請求項1】カフェ酸、p-クマル酸、3、4-ジメトキシけい皮酸、3、4、5-トリメトキシけい皮酸から選択される少なくとも1種のけい皮酸類縁体を含有するバイオフィルム形成抑制用口腔組成物。

請求項1では、「カフェ酸」等のけい皮酸類縁体による「バイオフィルム形成抑制」用途が規定されている。

―以下、続きは月刊『食品と開発』1月号にてご覧ください。
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