東洋新薬は、東京大学との連携協定に基づく共同研究において、ヒトを介さない錠剤の飲みやすさの新たな評価方法を開発した。錠剤の各形状(錠径・曲率半径・錠厚)が飲みやすさに与える影響や、ヒトを介した評価との結果を比較し、評価方法の妥当性を検証した。
ヒトを被験者とせずに錠剤の飲みやすさを評価するため、錠剤を飲み込む際に喉で感じる抵抗や違和感を模擬したモデル試験を開発し、せん断応力(滑り摩擦力)を測定。その評価方法を用いて、【錠径9mm/曲率半径7.5mm/錠厚4.5mm】を基準サイズの錠剤とし、基準と比べ各形状の異なる錠剤及びイージータブ®(東洋新薬の開発製品)における、せん断応力を測定した。
その結果、基準となる錠剤に比べて曲率半径大、錠厚大の錠剤においてせん断応力が増加することを確認。また、錠厚大の錠剤においては、同サイズの通常錠剤に比べてイージータブ®のせん断応力が低減することも確認した。
さらに、ヒトを介した錠剤の飲みやすさ評価との結果を比較するため、健常者6 名を対象にVASによる官能評価を実施。その結果、基準となる錠剤に比べて、曲率半径大、錠厚大の錠剤は飲みにくいことが確認された。また、イージータブ®が同サイズの通常錠剤に比べて飲みやすいことも確認された。
以上から、錠剤表面で発生するせん断応力を測定することで、ヒトを被験者とせずに飲みやすさを評価することが可能であると考えられた。
今回の研究は、東京大学大学院情報理工学系研究科 下山勲教授(測定センサに関する知見)、産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター 竹井裕介研究員(嚥下に関する知識)との共同研究であり、本成果は3月の日本農芸化学会2019 年度大会において発表された。
研究の背景にあるのは、健康食品市場における錠剤の現状。錠剤が大きくかつ1回の摂取粒数が多い商品もあり、負担軽減の観点から飲みやすい錠剤の開発が期待されている。しかし、ヒトを介した飲みやすさ評価では被験者への負担が発生するため、より簡便な評価方法の開発が求められていた。