機能性素材の吸収性や安定性を高めることは以前から重要視されている問題である。さらにその吸収性を評価する方法は、以前は動物試験が中心であったが、このたび太陽化学では、腸内環境を想定したin vitro評価技術を用いることで機能性素材やその製剤の吸収率を評価できる可能性が示唆されたと発表した。
研究では、難消化性物質の中でも非攪拌水層律速となりうる物質に対し、バイオアクセシビリティ(消化管内における吸収可能な可溶化状態の割合)は有効な評価指標になると仮定して検討を行った。さらにin vivo試験と比較することで信頼性についても検証。
ルテインやCoQ10などを基材とし、食品用乳化剤を用いて可溶化溶液製剤および結晶製剤を調製。胃と腸での消化を想定したin vitro系(豚由来の胆汁、消化酵素使用)で消化試験を行った。
すると、原体に対し、いずれの製剤でもバイオアクセシビリティの上昇が認められた。また、結晶製剤に対して可溶化溶液製剤は有意な上昇が確認された。粒子径を微細化することでも上昇傾向が認められた。なお、これらはラットを用いた単回投与試験における血中濃度と良好な相関関係を示した。
これらのことから、本研究でのin vitro評価系は、結晶状態や粒子径の異なる製剤の休校吸収率を推測できる可能性が示唆されたとした。
同社では、NDS(ニュートリションデリバリーシステム)という吸収性や安定性を高める技術を有し、本技術を応用した製剤を多数展開している。今後も同社は製剤化技術についての研究や応用を進めていくとしている。
本内容については、5月16日(木)~18日(土)に富山国際会議場などで開催されている日本薬学会2019年度大会にてポスター発表をしている。
タイトル:難水溶性物質の製剤化とin vitro吸収性評価