石井食品とTBMの両社は、TBMが開発した紙・プラスチックの代替素材「LIMEX(ライメックス)」の新規用途開発に関し、共同研究を進めることで基本合意に達した。
LIMEXは、日本で100%自給自足できる石灰石を50%以上の比率でポリオレフィン系樹脂(植物由来樹脂の利用も可能)とコンパウンドした複合材料で、水や森林資源を消費する紙、石油資源を消費するプラスチックの代替となるもの。その加工には一般的なプラスチック加工機(押出機や成形機)の利用が可能。
両社は今後、LIMEXの新規用途開発を進めつつ、実際に石井食品がパッケージなどでの採用を拡大することで資源面からの環境負荷低減を目指す。
今回の基本合意の背景には、プラスチックごみによる海洋汚染問題の深刻化と、その問題によってストローや包装資材などでプラスチック製品規制の動きが加速している現実がある。両社はまた、国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2016年から2030年までの国際目標「SDGs」への貢献を事業展開の中に位置づけており、石井食品にとっては、天然資源保全と持続可能な社会の実現に貢献するLIMEXのコンセプトが環境負荷軽減を目指す自社の方針に合致した格好だ。
石井食品は今後、今回の基本合意のもとで、①すでにLIMEXシートを採用している名刺やアニュアルレポートに加え、カタログや品書きなどでもLIMEXシートを採用する(名刺とアニュアルレポートを切り替えたことで、年間約1万ℓの水の節約と森林資源消費量の削減〔TBM算出〕)、②「イシイのおせち料理2020」のトレーの一部をLIMEX製に切り替える(今後、全てのおせち料理のトレーを切り替えることで、約345kgの石油由来プラスチックの削減〔同〕)、③2021年を目指してTBMとLIMEX製パッケージ(軟包材)を共同開発し、石井食品の主力製品である「おべんとクンミートボール」をはじめとしたおべんとクンシリーズや「チキンハンバーグ」などのプラスチック製パッケージをLIMEX製に切り替える(現在、約232tの石油由来プラスチックを使用しており、切り替えることで石油由来プラスチックの使用量が大きく削減される〔石井食品算出〕)―に取り組むとしている。