一丸ファルコスと角広 プロテオグリカン研究所主催の「プロテオグリカン・ビジネスフォーラム2019」が12月3日に都内で開催された。
共催:ひろさき産学官連携フォーラム
後援:青森県、弘前市、弘前大学、(一社)あおもりPG推進協議会
■開会の挨拶 一丸ファルコス 代表取締役 安藤芳彦氏
プロテオグリカン(以下PG)をサプリメントや化粧品向けに供給して10年目になるが、弘前大学での研究開始より20年が経過している。その間、PGは着実に市場を広げ、生産量も毎年伸長し続けている。このPGの発展は産官学の成功事例として高く評価されている。今後さらに世界に飛躍するため、本フォーラムでの議論などを通じ、次のステージに繋げていきたいと考えている。
■来賓挨拶 あおもりPGの軌跡と未来 青森県知事 三村申吾氏
――三村知事は「PGボーイズ」として実際にPG入りクリームを愛用しており、手(肌)がとてもきれいで、膝も良好、PGの効果を実感している、とのこと。
PGの量産化が確立される前は、1g3000万円もする金より貴重な素材であった。それが、弘前大学医学部教授であった故・高垣啓一先生が、郷土料理の「氷頭なます」を食べながらサケ鼻軟骨から酢酸で抽出する方法に気づいたことが、大量生産技術開発の発端となった。
青森県産のPGを「あおもりPG」と称して、品質の良さなど他のPGと違うことをアピールしている。また、(一社)あおもりPG推進協議会では、あおもりPGを使った商品をブランド認証している。現在すでに167商品(うち青森県内企業100商品)で、食品69品、化粧品98品が認証されている。
PGの情報発信は海外にも進めており、台湾へのプロモーションを積極的に展開中。100年を生きる時代において、PGの有用性を国内外問わず積極的に広めていきたい。
【基調講演】
■人生100年時代の最新エイジング対策~超高齢社会を、プロダクティブ&アクティブエイジング社会に変えるヒント
日経BP総研 メディカル・ヘルス ラボ 所長 藤井省吾氏
人口減少時代において、増えているのはアクティブな大人、そこにビジネスチャンスがある。高齢社会ではセルフケアが大切となり、今後、医療は予防やセルフケアにシフトしていく。今後どのようなものに注目したらよいか、トレンドワードを7つ挙げる。
1)ロカボ・食後高血糖 2)筋力維持とサルコペニア フレイル対策 3)ロコモ 4)美容、たるみ対策 5)睡眠負債 6)座り過ぎ 7)炎症→老化
【研究報告】
■プロテオグリカン、グリコサミノグリカンの構造と機能~特にサケ軟骨コンドロイチン硫酸の構造上の特徴について~
名城大学 薬学部病態生化学研究室 教授 山田修平氏
プロテオグリカンとは、たん白質(コアたん白質)に多糖(グリコサミノグリカン)が共有結合したものであり、動物にしか存在しない。グリコサミノグリカンの種類は多く、コアたん白質の違いも含め、様々な種類のPGが存在するが、その違いが機能の違いに繋がる可能性がある。どのような構造のPGなのかを把握しておく必要がある。
■MRIによる軟骨中のPG含有量の評価~ヒトへのPG内服の有効性の検討~
千葉大学 大学院医学研究院総合医科学講座 特任教授 渡辺淳也氏
変形性膝関節症(OA)の有病者は2,530万人、痛みを感じる人が780万人いる。40代から多くなり、女性は60歳を超えると半数がOAになっている。OAは最初に関節軟骨の変性がある。軟骨は自己修復能に乏しいため、早期発見が必要。
OAのMRI評価で有効となるのが、T2 mappingと T1ρmapping 。T2 mappingは軟骨のコラーゲン配列や水分含有量の評価に有用で、早期軟骨変性の診断や軟骨変性度の評価が可能。T1ρmappingでは、軟骨のGAG濃度や水分含有量の変化を評価できる。9名のヒト試験では、PGを10mg/日、6か月摂取により、9人中7人がOAでの改善がみられた。T2 mappingおよびT1ρmappingを用いることで、レントゲンではわからないレベルにおいても、軟骨のどこに問題があるかをはっきり把握できるようになった。現在はベトナムでのヒト試験を進めており、結果は今後発表していく予定。
■プロテオグリカンの多彩な機能と可能性
弘前大学 大学院医学研究科 生体高分子健康科学講座 特任教授 中根明夫氏
PGを経口摂取させることで炎症性腸疾患の抑制だけでなく、関節炎の抑制、脱髄疾患の抑制、インスリン耐性の予防、アレルギーの予防などが動物試験で判明した。抗炎症のメカニズムを探ったところ、炎症性ヘルパーT細胞であるTh17、Th1の誘導の抑制、制御性T細胞のFoxp3の発現の促進などが分かった。
PGは腸で吸収されにくく、ほとんど素通りする。ではなぜ効果がみられるのか? PGは腸管の免疫応答を制御していると考えられた。また、PGの腸内細菌への影響についてメタボローム解析を行ったところ、善玉菌数が増え、病原性菌は減っていた。PGが腸内細菌叢を改善して全身の腸管免疫機能を制御していると考えられた。なお、無菌マウスを使った試験ではPGの効果はみられなかった。
今後のPGの可能性として、投与法の点からは、経口投与だけでなく口腔内や鼻腔内への直接投与が考えられる。また、抗炎症の点から、サルコペニアやアルツハイマー、がんなどに対する可能性も考えられる。
■OneTeamで市場創出に取り組む
第2部【プロテオグリカン商品戦略/企業講演】では、ダイドードリンコ ヘルスケア事業部 原田清佑氏と、青森県企業3社、カネショウ 代表取締役社長 櫛引利貞氏、マキュレ 代表取締役 高橋裕孝氏、ラビプレ 代表取締役 三浦和英氏が、自社のPGを応用した製品について、開発秘話、販売で苦労した点、お客様の感想などを紹介。
第3部【パネルディスカッション】では、新たな市場の創出に向けてONE TEAMで取り組んでいく、という決意を新たにした。
プロテオグリカンを使った商品群