オリザ油化は、「トマト種子エキス」に新たな機能性としてアレルギー性皮膚炎の改善効果を見出し、このたび特許を出願した。
同社はトマト種子エキスの主要成分としてサポニン化合物であるリコペロサイドAおよびHが含まれていることを発見。さらにエキスおよびサポニン成分が、皮膚細胞外マトリックスの主要構成因子であるコラーゲン、エラスチンの産生を促進、ならびにそれらの分解物の線維芽細胞への取り込みに関与する遺伝子発現を促進する作用を見出していた。これらの効果は主に皮膚内側の真皮における効果であったが、今回は皮膚外側の表皮における効果について検証した。
皮膚の乾燥およびバリア機能の低下は異物(抗原)が皮膚内に侵入しやすくなる。抗原の侵入による免疫反応はかゆみの発生や皮膚炎を引き起こす。そのため、抗原が皮膚内に侵入しないよう、皮膚の水分量およびバリア機能を保つことは、アレルギー性皮膚炎の改善のために重要なこととなる。
皮膚の水分保持に関する重要な因子としては、フィラグリンとセラミドが知られている。これらはアレルギー性皮膚炎発症者の皮膚において著しく減少していることがわかっており,皮膚中のフィラグリンやセラミド含量を増加させることによってアレルギー性皮膚炎症状である皮膚の乾燥を緩和できると考えられる。
そこで同社は、トマト種子エキスおよびエキスの主要成分であるリコペロサイドAおよびHのヒト皮膚3Dモデルにおけるフィラグリン遺伝子およびセラミド合成に関わるセラミドシンターゼ3遺伝子発現に及ぼす影響を調べるとともに、3DモデルのTEWLへの影響を調べることで皮膚の水分保持力に及ぼす影響を検証した。
その結果、フィラグリン遺伝子およびセラミドシンターゼ3遺伝子の発現がトマト種子エキス、リコペロサイドAおよびHの添加によって有意に増加。さらにTEWL測定の結果、トマト種子エキス、リコペロサイドAおよびHを添加した群のTEWLが対照群と比較して有意に低下した。これらの結果より、トマト種子エキスおよびリコペロサイド類は皮膚の保湿因子の発現を増加させることによって皮膚の水分保持力を増加させることが示された。
一方,アレルギー反応の抑制はマウスを用いた試験によって評価。マウス掻痒モデルにトマト種子エキスおよびリコペロサイドHを経口投与し、痒みによる引っ掻き行動を抑えるか検証。その結果、引っ掻き回数は対照群と比較して摂取群においては減少する傾向を示した。
以上の結果より、アレルギー性皮膚炎症状に対して有効性を示す可能性が示唆された。同社はこれらのデータを特許出願し、これまでに見出していた真皮へ働きかける効果による肌の弾力ケア作用だけでなく、表皮へ働きかける効果によるアレルギー性の皮膚症状(ドライスキンなど)改善効果の2つの側面を合わせ持つ新たなコンセプトの美容素材として差別化を図っていく。