ビタミンC市場は、中国新興メーカーの本格参入などを契機に、昨年来、シェア争いによる弱含みの状況が続いてきたが、ここにきて世界各地で引合いが強まっており、国内でも玉繰りや相場の上昇が懸念されている。
ビタミンC相場は、旧正月あたりから底上げ機運が高まり、じわりと上昇。直近では新型コロナウイルスの感染予防などを理由に、中国内需や欧州、米国、南米での引合いが強くなり、4月後半には最安場時からスポット価格で2倍に上昇する局面を迎えている。
世界市場ではビタミン関連のサプリメント需要が好調で、新型コロナへのビタミン点滴の臨床試験も始まっていることが需要を後押ししているという。2月の時点では、米国、主要EU諸国ともに中国からの輸入量は昨年同月比に比べそれぞれ1,000トン上昇しており、英国品の引合いも活発化している。一時的に需要量が供給量を上回るとの声もあり、今後の引合いが相場のカギを握るとみられる。
世界のビタミンCの需要は中国内需と英国品と合わせ推定17~18万トン。中国拠点の供給量は9割近くに達し、昨年の中国から世界各国への輸出量は過去最高を記録している。既存メーカーではウェイシェン(石薬集団維生薬業(石家庄))を筆頭に、山東魯維製薬、DSMグループ、東北製薬、山東天力製薬、鄭州拓洋実業などが世界市場を賄っている。新興メーカーとして寧夏后元薬業や河南緑元薬業、安徽泰格生物科技、黒竜江新和成生物科技、内蒙古華北製薬などが名乗りを上げており、近年は寧夏后元薬業の存在感が強まっている。
国内市場では、先行きを見据えて価格を見直す動きもあり、連休明け以降から一部で値上げする動きが本格化するとみられる。
詳しくは、6月号(6月1日発行)でビタミン特集を掲載します。ぜひご覧ください。