森永乳業は、認知機能改善作用が確認されている独自のビフィズス菌「Bifidobacterium breve A1」について、軽度認知障害が疑われる方を対象とするプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施し、総合的な認知機能を顕著に改善する結果を得たと発表した。この研究成果は科学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」に7月3日に掲載された。
腸内細菌を含めた腸と脳が機能連関するという“脳腸相関”が注目されている。同社はこの“脳腸相関”に注目し、ビフィズス菌摂取による認知機能改善を目指している。これまではモデルマウスによる認知機能改善作用などを調べてきたが、今回の試験はヒトへの有効性をさらに検証するために実施された。
軽度認知障害の疑いがある50歳以上80歳未満の男女80名を対象に、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を行った。対象者をランダムに2群に分け、B. breve A1を100億個含むカプセル、またはプラセボカプセルを1日2個、16週間摂取してもらった。
摂取前と16週間摂取後に、神経心理検査の一種である『アーバンス神経心理テスト(RBANS)』(主要評価項目)ならびに『あたまの健康チェック(R)(MCI Screen)』(副次評価項目)を用いて認知機能を評価した。
すると、『アーバンス神経心理テスト(RBANS)』においては、B. breve A1摂取群はプラセボ群比で総合的な認知機能の指標である評価点合計の著しい改善がみられた。さらに即時記憶、視空間・構成、遅延記憶を司る認知領域の点数も顕著に向上した。また、『あたまの健康チェック(R)(MCI Screen)』による評価においても、プラセボ群比で認知機能の有意な改善が確認されたことから、B. breve A1の継続摂取により総合的な認知機能が改善する可能性が示された。