BASF社の傘下であるオランダ・Isobionics社が生産するバイオテクノロジーベースのバレンセンが、日本国内市場向け食品添加物として初めて厚生労働省により指定され、8月28日付の官報で告示されたことが明らかとなった。
バレンセンおよびバレンセンを原料とするヌートカトンは、オレンジやグレープフルーツにも含まれている重要な成分で、日本国内の香料業界において需要が高い成分。Isobionicsは、独自の発酵技術でバレンセンやヌートカトンなどの柑橘系オイル成分を生産しており、季節的な要因に左右されることもないため、高品質で安定した製品を供給できる点に強みを持つ。海外においてIsobionicsの製品は、主に清涼飲料水などの飲料用フレーバーとして使用されている。
2020年3月31日の第778回食品安全委員会では、食品等評価書(案)「Rhodobacter sphaeroides 168株を利用して製造された香料バレンセン」が報告され、4月1日から30日までの1カ月間、パブリックコメント実施。それを受けて食安委がこの評価結果を厚生労働省に通知し、厚労省が安全性審査の手続を経た旨を官報掲載で公表した。今回の指定により、Isobionicsのバレンセンとヌートカトンが日本国内でも食品添加物として使用、商品化が可能になる。
開発したIsobionicsは、オランダのへレーンにあるバイオテクベースの香料原料会社であり、ヌートカトンやバレンセンなどの柑橘系オイル成分を中心に、香料業界市場向けの幅広い原料を開発・生産している。2019年にBASFが買収し、BASFのアロマイングリディエンツ事業の一部となった。
さらに、BASFのニュートリション & ヘルス事業本部では近年、酵素の研究と生産に特化したグローバル・ビジネス・ユニットを設立しており、食品、飼料、技術産業における天然加工助剤をはじめ、幅広いアプリケーションの原料として取組みを進めている。