日油は、キウイフルーツ果汁末がプロテインの吸収を促進させる効果をヒト試験で確認したと発表した。
たん白質が腸内に留まると、エサとなって悪玉菌が増殖して腸内環境が悪化、便秘や下痢につながると考えられている。キウイフルーツにはたん白質分解酵素(アクチニジン)が含まれていることから、たん白質の分解が促進し、腸内に留まるたん白質が減少することで腸内環境の改善(悪玉菌の減少)が期待される。
13名による社内モニター試験では、キウイフルーツ果汁末を500mg/日、10日間摂取したところ、摂取期間中の排便回数が増加し、摂取前と比べて有意な改善が見られた。さらに、製品に使われているたん白素材(ホエイ、カゼイン、大豆)についてモデル胃液を使って反応を調べたところ、キウイフルーツ果汁末を添加した場合、アミノ酸・ペプチド量が増加していることを確認している。
これらの結果を踏まえてヒト試験を実施した。健常者10名(20~40代、男女半数、プロテインを週1以上摂取・排便が週3~5回の人)による二重盲検クロスオーバー試験で、被験食はホエイプロテイン20g+キウイフルーツ果汁末500mg(対照食はホエイのみ)。
【試験結果】
・摂取後の血中総アミノ酸濃度はキウイフルーツ果汁末添加群で有意に増加。総アミノ酸濃度も添加群の方が多かった。
・血中BCAA濃度も添加群の方が有意に増加
・便が硬い被験者5名をみると、摂取2週目で排便の改善傾向(版便日数の増加、排便量の増加)が見られた。
キウイフルーツ果汁末に含まれるアクチニジンがホエイプロテイン中の吸収されにくいβ-ラクトグロブリンの分解を促進し、吸収量が増加したと考えられた。試験結果は論文化され、『薬理と治療』9月号に掲載されている。
たん白質の吸収量アップやBCAAの吸収量が増えることから、粉末プロテイン飲料への応用などが考えられる。