キチン・キトサン学会は、11月25日に開催された「食のミライ技術フェア2020」に伴い、「キチン・キトサン学会セミナー」を開催した。
順天堂大学保健医療学部 特任教授 長岡功氏は、「総論編:キチン・キトサンからグルコサミンまで」と題し、キトサンやグルコサミンに関する基本的な事項から、研究データなどについて幅広く紹介した。
●キトサン
キトサンはカニ・エビ殻を原料として製造され、食物繊維として唯一プラスに帯電する。酸に溶けやすいため、胃酸に溶け、アルカリ性である腸内では不溶性のゲルとなる。機能としては、コレステロール低下抑制、血圧上昇抑制、脂肪吸収阻害など多岐にわたる。
コレステロール低下作用に関する作用機序も調べられており、胆汁酸排泄促進により、血液中のコレステロール量が減少することでコレステロールを低下させる。また、キトサンがプリン体や核酸の吸収を阻害することで血中尿酸値を低下させることも判明している。
●グルコサミン
グルコサミンは、アミノ糖の一種で、グリコサミノグリカンの成分として体内に存在する。既に機能性表示食品として届出受理された商品が65件もある。機能性表示では軟骨成分の分解を抑制し軟骨を保護する機能での受理であるが、グルコサミンにはそれ以外にも様々な機能研究が進められている。
抗炎症機能について多角的に調べられており、活性酸素生成抑制、好中球の遊走能の抑制、炎症性腸疾患(IBD)など腸管炎症の抑制、血管関連では、血管炎症の抑制、動脈硬化に対する効果、血小板の凝集抑制による血流改善などのデータが出されている。グルコサミンがサーチュイン遺伝子やオートファジーを活性化させることも調べられている。
軟骨保護作用はもちろんだが、様々な機能を持っており、様々な疾患の根本とも言われる慢性炎症を抑える機能から、抗ロコモ、抗メタボ、アンチエイジング、美容効果など様々な可能性を持った機能性素材であると考えられる。